2010夏 ことば悦覧 in うるとらまんchin々 (仮想領域 大坂・京都) | |
HOME 01 たかぎみ江 02 井口夏実 03 江頭昌志 04 満田衛資 05 井口純子 06井口勝文 07 水野大二郎 08 永岡弘 09フォラムin大阪雑感 10 2010夏えいぞうさん家 |
|
井口純子(いのくち・すみこ)井口勝文(よしふみ) 「こんにちは ! TERAUCHI+八賢邸」を語る 第 1章 新聞作る 「こんにちは ! TERAUCHI」を語る 01 02 03 第 2章 井口夫妻 「八賢邸を語る」 01 02 03 04 第 3章 いろんな話 05 06 07 08 09 こんにちは!寺内新聞 補足 10 第 4章 井口勝文 生い立ち と純子さんとの出会い 11 12 13 |
|
第4章 井口勝文 生い立ち 純子さんとの出会い 11 | |
佐藤: タケチャンマンになった、タケチャンマン以降 今日の話で大ざっぱにわかったんですけど、井口さんがタケチャンマンになるまでの話をちょっと。30分か45分、1時間でもいいですけど 勝文:タケチャンマンになるまで 佐藤: 生まれてから。井口さんどこで生まれた 勝文:あ、それはね僕あの、福岡県の田舎でね 佐藤:なんていう所ですか 勝文:朝倉郡 福田村小田字春 佐藤:どういうところですか 勝文:これはね、筑紫平野のちょうど真ん中っていうね。 佐藤:ただ平らなだけ 勝文:平らなだけ。それで遠くに山並みがずーっと見える、と。 佐藤:何年ですか 勝文:えー41年。16年 佐藤:1941年 勝文:1941年 昭和16年 太平洋戦争の始まる前ですね。戦前派ですよ、だから僕は。そうそう、15年中国とは戦っていたけど 真珠湾攻撃が41年の12月8日か・・ 佐藤:あーそかそか。イケイケドンドンの時だ 勝文:イケイケドンドンで、もう今から侵略するぞーという頃です そういう時の、もうほんーとに水田地帯 田んぼの真ん中、生まれた ほいで、僕が生まれた時に既に親父は戦争行ってて 佐藤:どこ行ってたの 戦争は。その時に 勝文:その時に海南島という中国の南の方に、今リゾート 佐藤:満州じゃないのね 勝文:満州じゃない 海軍なんですよ 佐藤:海軍 勝文:うん。海軍だから、もともと 佐藤: 海軍 船に乗ってる 機関士 勝文:いやあの、大砲の砲術 佐藤:あーそうか砲術士 勝文:うん。砲術士 佐藤:そっかー 勝文:うん。砲術科を出て、ほいで大砲打ってた 佐藤: 軍艦からね。 勝文:軍艦。駆逐艦 駆逐艦乗ってた。ずーっと。ほいでね、もう親父もその水田地帯の出身なんで・どん百姓ですよ。要するに どん百姓で食うに食えない 末っ子だったしね 佐藤:兵隊になっちゃったと 勝文:もう兵隊にしかなりようがない背景なの 佐藤:じゃあ何男坊なんですか、お父さんは。三男坊 勝文:親父は・・えーっ 佐藤:長男じゃない 勝文:長男じゃない。一、二、三男坊。三人しか男いない 佐藤:戦前には 長男以外は兵隊さん よくあるパターンだよね。 勝文:そう 佐藤: おまえ 兵隊になれ、と 勝文:兵隊になれ、と。うん。ほいでもう勉強しようと思ったら、 兵隊の学校に行くしかないじゃないですか。で、行ったわけ そのまま職業軍人になって、もうまっしぐらに戦争してたんです 佐藤:海軍ね 勝文:海軍。うん。海軍だからね、僕が写真見たりするとね、あのー遠洋航海ってのがあるわけね。うんうん。それでサンフランシスコとかね、あーゆうところ行って まーハワイとか 行ってる時の写真がありますよ それがね、やっぱり小さい間にインプットされて、俺も大きくなったら海外に行くんだ、と 佐藤:なるほど 勝文:いうのは あったかも知れない 佐藤:あ、それでイタリアいったわけか 勝文:イタリア行ったの。それはあったの 佐藤:親父コンプレックスや ぞこれ 勝文:そう。だからそんな田舎なのにね、海軍のアレだからでしょう 白い西洋のお皿とか、ティーカップとか 佐藤: オシャレだね 勝文:うん、オシャレというか 佐藤:港々で収集して 勝文:うん、ナイフとフォークとか 要するにそんなに田舎の百姓屋の出身で、所帯も持って、ウチのお袋もまぁほとんど同じ いとこ同士だったんですよ 佐藤:あー 従兄弟結婚ね 勝文:従兄弟結婚だから 田舎の若いもん同士が結婚したわけ ところが親父は、 海軍に行ってそんなんだったからね 佐藤:オシャレになっちゃった ググーっと 勝文:そう 所帯道具を揃える時に ナイフとフォークとか全部 揃えてるわけですよ それいいでしょう〜 僕は涙でるよ 佐藤:ふふ 勝文:ふふふふ うん だから大事に 今でも持ってます その時のやつ。うん、うちの宝ですよ そんなん。で、でも僕がね、生まれた時はもう戦争行ってて。オヤジは結局僕を見ずに 死んじゃったんですよ 佐藤:どこで 勝文:海南島で 佐藤:海南島で 戦死ですか 勝文:うん。陸戦隊ってのが昔海軍にあったらしくて。海兵隊じゃないかな 佐藤:戦死されたのは何年ですか 勝文:18年 佐藤:勝文さん2才 あーあと2年ねで 敗戦 勝文:うん。2年。僕の顔はまー、写真では見てるけど、実際には見てない 18年の2月13日だから まだ日本がそんなに、負けてる〜っていう感じじゃない 佐藤:負け戦じゃないよね じゃ特攻隊もまだできてない 勝文:そうそうそう。特攻隊なんか無い時 でもね、親父がね、持ってる、読んだ 本がいくつか残ってるんだけど それに「西部戦線異状なし」っていうのがあるんですよ 第一次大戦の時のドイツの、ね。あれがね、主人公がね、あれ田舎出身じゃないけど、全く親父と同じ 若い時に兵役に就いて、ずーっともう軍隊でしか生活してない 佐藤:うーん 勝文:それで、もう最前線の第一次大戦の塹壕の中でね、もうすごいプロになるわけですよ 戦争のね。新兵で入ってずーっと鍛えられて 人生がそれしかないわけですよね 戦争それしか 兵隊しか ほんで、塹壕の中でいつものようにと前を見るとそうするとね、花が一輪咲いてて。そこに蝶々がこう来るしーっと見ている。で、ふーっと蝶々にね、手伸ばした。そこを狙撃兵にバーンてやられて 死んで お終いなんだけどね 佐藤:なーんか 良い話だな 勝文:うん。それがその「西部戦線異常なし」というと。ドイツの 佐藤:なるほど でも国に命を捧げて死んだんじゃないから いい 勝文:そうそう そういうのなの。もう全然、ま言ってみりゃ要するに反戦小説ですよ。完全な反戦小説。それを親父が やっぱり読んでんのね 佐藤:うん 勝文:いっぱい消されて 出版の時の 時の 佐藤:あそうか。墨入れられてるわけ 勝文:墨入れられて、まともなものにはなってないけど、親父はそれを読んでんだよ 佐藤:今はそれ全部読めるんですか 勝文:読める。映画にもなってる 素晴らしい映画だけどね だから、まーなんか、僕は それが唯一つ親父がどうゆう人生だったか ていうか どうゆうことを考えてたってのが 佐藤:誰も 兵隊さんの所にインタビューに来ないからね 残念でしたね。まーしょうがない、想像するしかない 勝文:想像するしかないよね 佐藤:なるほど 勝文:そんな感じですよ それがまぁ死んじゃったわけ 佐藤:で お母さんものすごく苦労したわけ それじゃね 勝文:そらー苦労しましたよ 戦後ね 佐藤:でも 大学まで行っちゃうわけでしょ 勝文:それは親父がね、なんか行かせたいと言ってたらしいよ。 もう罪な奴だよね 自分の生い立ち考えたらね やっぱり子供大学に行かせたいと思ったんでしょ 佐藤: 遺族年金とか出るけど、学校は奨学金は出ないでしょ 勝文:それはね、遺族年金は今はすごく助かってるよ。でもそんなの世の中が安定してから 出始めたんだからね 佐藤:あ、そうか。その時ないんだ。 勝文:一番苦しい時は全然無いのよ 佐藤:あーそうかー手当は後からか 辛いナ〜 今欲しい時に無い くれりゃいいのに 勝文:ないない ねそれは 佐藤:そうすると 周りのネットワークで 勝文:田舎だから 佐藤:あそうか。結構 人間関係でね 勝文:そうそう 田舎だから助かったんですね だから百姓まではしなかったです、実際 佐藤:なるほど両親は 従兄弟同士だったんだね 勝文:そう 佐藤:周りはみんな 親戚のような感じだからね みんなね寄り合って、ネットワーク作って窮状乗り越えをやるしかない 勝文:うん、そうそう 佐藤: 子供の時もそうだけど、小学校とかはどうなんですか 勝文:小学校の時もそう。ずーっと僕は小学校、中学校と 僕は小学校は昭和23年だから、もう戦後なの 佐藤:真っ黒な教科書とか読んでたんだ。 勝文:まーね、そう 佐藤:すごいね。でも価値観転倒しているから むちゃくちゃやね 戦中派 勝文:だから戦前派だよ 生まれた時は戦前。まー中国でいえば戦中派になるけど 佐藤:子供の頃は何になろうと思ってたんですか そのやっぱり兵隊さんですか 大砲撃つぞーみたいな。 勝文:それは無いわね それはやっぱりね、僕はやっぱ戦争に対してはすっごいアレルギーというか 佐藤:あーお父さん 戦争で死んじゃったし 勝文:そう 佐藤:戦争に 恨みがあるよね 勝文:うん。まー僕 今でも 靖国神社 絶対参拝しないですよ 佐藤:ふふふふ 勝文:うん。それはもう、なんか 理屈抜きの反戦という うん 佐藤:そうだよね それが普通ですよね。お父さん殺された 戦争嫌だし 神様にされても嫌だよね 純子:でも うちの母は見ましたね お母さんね。 勝文:うん 撲はあのーなんで行かないかっていうと、やっぱりね、戦犯が 佐藤:A級戦犯合祀 ですね 勝文:A級戦犯が祀られてるから行かない うん。僕は A級戦犯が 本当にA級戦犯合祀されているから行かない。A級戦犯が本当にA級戦犯かどうかとね、それが罪かどうかというのは、これはちょっと別に置いといてね。 戦没者を祀るていうのは 前線で死んだ人ですよ あるいは戦病死ね うん。それをね、 A級戦犯を入れるというのは、僕は違うと思う 全然別の考えで入れてると思うね。それと一緒に祀られるといったらね、僕行かないよ。行って手合わせたら両方に合わせてる 鉄砲担いでね、最前線で死ぬっていうのは、これはもう全然別の体験ですよ。大変な事ですよそりゃ それに対してね、国民がみんなね、大変でしたね、と手合わせるの。これはごく自然で当たり前だと思う。むしろやるべきだと思うよ 佐藤: しゃべれば長い話で、俺も少し知ってるんですけど、まぁ厚生省と国との関係があるからね。 帝国憲法下で靖国神社が 国のさ、神社だから 。天皇主権国家 だから、 歴史的なもんがあるからね。どっち行っても正解が出てこない話になっちゃう 。でも井口さんのその合祀に対する義憤ていうのはよくわかりますよ 勝文:うん 佐藤:だからそれを解決しないのは 政治家が悪いんですよ。 勝文:そう 僕はだからね、単純に前線で戦死した人、あるいは戦病死の人を祀る、と。いうその戦没者の記念碑かなんかが出来て、そこでやるんだったら僕はもう、もちろん行きますよ。もう義務感くらいにして行くわ 佐藤:なかなか難しい問題だ そういう歴史を背負って俺らは生きてんだけど。それで井口少年は、 中学校はどこどこだったの 勝文:中学校は同じ村の中学校行って 佐藤:あーそうなの。高校は 勝文:高校はね、ちょっと進学校に行ったんですよ 純子:進学校に行ってるの ふふふふ 勝文: ここでちょっと ふふふ この辺から揺れ始めてる 佐藤:どうしちゃったの 進学校って どこの進学校 純子:久留米付設というね、なんか進学校に行ってるんですよ 勝文:久留米大学に付設されたね 佐藤:付属高校 勝文:付属高校に行ったんですよ。うん。何故か 佐藤: 自分で行ったんですか 勝文:自分で行った 佐藤:へ〜 そんな簡単に入れるんじゃ ないでしょ〜 勝文:うん、なかなか難しい す〜っごく難しい高校 佐藤:勉強してたんだ 勝文:勉強したの 佐藤:ははははははは 純子:ははははははは 佐藤: なんで そんなんなっちゃうんですか 勝文:それはね、やっぱりねお袋がね、あなた大学に行きなさい と。お父さんが大学に行かせたいと言ってた、いつも言ってたから。俺は大学に行くんだ、ともうずーっと思い込んでた で僕の村なんてね、大学行くのほんーのわずかなの 佐藤: みんな行かないよね 勝文:ほとんどゼロ 僕のところがね、一学年80人くらいいて 大体ね、一人か二人しか行ってないよ ましてや僕なんか母子家庭じゃない そんなもん有り得ない話だね 佐藤:お金のことはまず、それより試験パスしようみたいな感じ 勝文:うん。それでお袋がそう言うから、僕は子供だからあんまりお金のことよく分からないじゃない。ただ周りからね お前大それたこと考えるな と 佐藤:言われたんだ 勝文:うん言われたりしたことありますよ うん 佐藤:そりゃ悔しいね そうだよね、 母子家庭のくせにとか言われて、大黒柱居ないのに そんなことできるわけねーだろ とか親戚の人に 怒られるよね 勝文:そうそうそう 佐藤:説教されちゃうよね 親不孝だお前はと 勝文:全くその通り そういうこと言われたことありますよ うん。それでもま〜なんかお袋が言い続けてるから。僕は行くんだ と思って。そしたら行くとしたらね、もう国立しかないわけよ 私立なんか行けるはずない で国立っていったらあの辺では九大しかない訳よ 佐藤:あー なるほどね 勝文:だから九大にいくためには どうしたらいいか 佐藤:わかりやすい 勝文:わかりやすい もう単純なね 佐藤: 大学への路は これしかないと 勝文:そうそう 佐藤:目的は九大に行くことだったんだ 勝文:そうそう 佐藤:まだ建築は明確になってないわけ 勝文:なってない うん 佐藤:なるほど。で無事 附属高校入学おめでとうございます 勝文:へへへ 佐藤:それで受験勉強 夜も寝ないで 勝文:一生懸命 まじめに 佐藤:夜も寝ないで。 勝文:ふふふ うん 佐藤:どこ受けるかっていうのはいつ決めるんですか 勝文:学科 学科はね、僕はね、もともとはね、今で言う宇宙飛行士になりたかった 佐藤:あれ あれ随分横道に逸れて来ましたね〜 横道 歩いた 勝文:あはははは 宇宙飛行士になりたくて 佐藤:その頃宇宙飛行士なんかなかったんじゃないの 勝文:だからね、宇宙飛行士っていう言葉がなかったね でも今で言えば宇宙飛行士 佐藤:なるほど 勝文:でそうするとね、航空工学科なの。 佐藤:あーなるほど 勝文:うん。で九大の航空工学科ってのがあって 佐藤:はあはあ 勝文:そこに行こう、と 佐藤:今じゃ建築 随分道外しましたね 勝文:ははは それで難しいんだよ そこが 佐藤:あ、そっか 入れない 勝文:入れない うん 佐藤:もしかすると1969年でアポロ着陸した時に 実況とかやってたかもしれないね。 勝文:僕は会社休んで見たよ ふふふふふ 佐藤:そりゃ見てるでしょ あれがやりたかったんだ〜 勝文:会社休んでテレビ見たふふふふ 佐藤:あれやりたかったですか 勝文:そうそう。それやりたかった 佐藤:なるほど。悔しかったね、そりゃ 勝文:いやいや その時は建築に受かってたから 佐藤:ははは あ そかそか ガヤガヤ (15:03) その12へ |
|