いろんな事情
<病気事情>
ミルのカルテ6: そして再発 しあわせの合併症(〜3ヶ月)
はじめに
今回のカルテは合併症のお話です。
長生きすれば病気にもなり、さらに頑張れば合併症も出てきます。
ミルがずっと穏やかに側にいてくれるしあわせの合併症。。。。
骨折から、意外な経過を辿ったので、
どこかで困っているうさぎさんや飼い主さんへの励み、また反面教師となればとまとめた所もあります。
そんな意味も含め、今回は悲惨な画像も大きく載せますので、 苦手な方はこの先進むコトをご遠慮下さい。
困っている方が偶然立ち寄られたら、少しでも参考になれば嬉しいです。
また、ミルは今まさに進行形('10/04/〜)なので、意見助言などあればどうか御教授頂ければ幸いです。
合併症いろいろ
ミルの病名は癌なんだけど、合併症堂々第一位はなんと言っても「下半身不随」
さらに、これに伴う「排尿障害」が起こりました。
ナンでも慢性化してくると原疾患より合併症との闘いになるモノです。
ひとつづつクリアして、いよいよ第三ステージです(笑)
それはもちろん「褥創(床ずれ)」!!・・・・と言いたいのですが・・・・
その前に、ミルは自分で自分の脚を囓る囓る・・・・・ひぇ〜〜〜〜(汗)
受傷してしまった状態にどう取り組んでいくか・・・・ 「傷」についての体験を記録していきます。
受傷(10/04/06)
ミルは半身完全麻痺になってから、普段以上に毛繕いをするようになりました。
気のせいかな?と思っていましたが、毛球症は大丈夫?巣作りでもしちゃうんじゃないの?と思わせるほど必死に見えます。
胸元辺り、ハゲちゃうんじゃ・・(^^;;;と心配しましたが、こちらは大丈夫。
けれどある時、脚をペロペロじゃなくてカジカジしているところを現行犯逮捕!!!
毛に被われて見えなかった傷も含め発見!!すぐ病院へ行きました。
画像1:足首 |
画像2:脹ら脛 |
画像3:足背(足の甲) |
囓りたての足首はうっすら血が滲んでいますが、脹ら脛に見えているのは骨かと焦ったら「腱」でした。
ま、骨も腱も同じコト。ドンだけ深く囓ったの??(涙) 足の甲の傷も脹ら脛の傷も裂けたような傷で、原因不明。
何かに引っかかったように思える傷ですが、その環境が思い当たりません。
後に何度も犯行現場を押さえることになり、やっぱり囓ったんだなと思いました。
獣医とも相談し「何もしない」という方針になりました。私もそれでいいと思い納得しました。感染はしないと言われ、特に抗生剤も出ませんでした。麻痺の傷は治らないと言われました。
傷はすでに乾燥しており、「感染」するのではなくどちらかというと「壊死」に向かうのだろうなと思いました。
完全麻痺で軽くなった脚を指さし「この脚ももういらなくなった」と獣医が言いました。。。。。
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しばらく被害状況が悪化しないので、そのままでいましたが、
皮膚が乾燥して捲れ上がってくると気になるのか痒いのか・・・・・
カジカジカジカジカジカジカジカジ・・・
やっぱり脚を保護しなければ・・・
なんだか見慣れた光景(;^^A →
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包帯はあまりしたくなかったのですが・・・・
身体に異物があれば、それを理解できないのが動物。
その境目をカジカジしてしまうかも・・?との怪訝的中。
そして一番ヤバイ場所。ちょうど床に擦れる部分を囓ってくれました。
ひぇ〜〜〜〜っ ここだけは勘弁してくれっ!!!
画像4:大腿内側部
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靴下履いてみた(^^)
やっぱり半身不随の子はみんな同じね(笑)
胴に回したかったんだけど、
ズレてくると下痢の時悲惨になるのでやめました。 |
二週間ほど何事もなく無事に過ぎました。傷は瘡蓋のまま乾燥しており、見た目には良くも悪くもありません。
とにかく「不変」は何よりありがたい(笑)・・・ですが・・・
うさぎがじっとしているわけないよね(^^;;
ある日の夜中・・・・
ふと目覚めるとミルがガサゴソやってます。ナンだろうと見てみると・・・・・・
邪魔くさい靴下も包帯も取っ払って、清々しく脚を囓っていました・・・・おーまいがっっっっっっっっっっ!!!!
夜中だったせいもあり、ナイトメアに遭遇した気分。とにかく恐ろしい物にフタをしてしまえっ!!
血しぶいている足の甲にワセリンを塗って包帯をし、「もうもうもうもうミルったら・・・」とショックにシクシク泣き寝入り・・・
アレ?待てよ・・・ 今見た光景・・・・
ミルの脚、もしかしたら治るかも・・・・・・・・
うさぎの創傷治療
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画像3−1
解りにくいですが、ミルが囓ってうっすら血が滲んでいます。
この状況を見てミルの脚は治るかも、治してあげよう、と思いました。
なぜかといえば、血流が確認できたからです。当たり前のことですが、循環状態は創治療に大きく影響します。まだまだ自己免疫で対抗できると思いました。しかも・・・・・
ミルは自分で瘡蓋を取りました!すごい!(^^;;
瘡蓋(かさぶた)=痂皮は、下から新しい皮膚を形成するために切除してあげるのがいいのですが、外科的処置をするつもりもなく過ぎてきました。この行為をデブリートマンといいます。
ミルは自己デブリをし、邪魔なモノを自ら排除。治して・・と言っているようですね? 興奮で眠れない布団の中で、ミルの脚がキレイになるかもと別の興奮を感じ、ますます目は冴えてしまいました。。。。 |
朝になりミルの脚をじっくり見てみると、本当に治るかも知れないと確信することが出来ました。
そこには、ミルの全身状態がもちろん影響してきますが、特に痛い処置をするわけではないので、取り組むことにしました。
怪我をしたとき、よく「濡らしちゃいけない」と病院で言われたことはないですか?
人間の創傷治療もまだまだ確立されていませんが、
いろんな治療法の中でも私の一番おすすめな治療法がこちら新しい創傷治療。
ここは、人間用のサイトですが、怪我や終末介護の役にきっと立つと思います。
下手な病院で下手な手当をしてもらうよりも、自宅治療が可能な傷は是非自宅で(笑)
ただし・・・
人でもまだ確立されていない治療法。当たり前のことですが、あくまで参考に。
個人的には、健康であれば瘡蓋=痂皮はムリしてデブリする必要はないと思います。
全身状態が悪い人はそもそも瘡蓋なんて言う上等なモノも出来ないように思います。
とにかく創の清潔(洗浄)が一番大切だと思うこと、消毒・ガーゼの悲劇に大きくうなずけること、で、ここを推薦します。・・・
基本は毎日キレイに洗浄し、濡れた正常皮膚や毛はしっかり乾燥させ、傷は湿潤させておくことです。
(健康人の瘡蓋はOKと思うけど、このサイトは容赦なく削り取ってる(^^;;;)
また、症例(人畜両方)も載っていますので、とても参考になると思います。
いざという時、一読の価値はあると思います。是非(^^)
さて、うさぎに戻りますが・・・
うさぎさんに応用するときは同じ方向性を持つ獣医師に相談することをおすすめします。
以前より知っていたサイトなので、迷わず実践しましたが、相手はうさぎ。
この方向で間違っていないのか・・・?湿潤療法を取り入れている動物病院エル・ファーロの獣医師にメール相談をしました。
この二カ所のサイトは、全国の医師、獣医師のリストを載せています(申告制のようなので、最後はご自身でお確かめ下さい)
住まいの近くに病院はあるのかとか、メールや電話相談なども可能ですので、この治療法を試してみようと思うだけでも参考になると思います。
方向性はけして間違ってはいないと背中を押してもらいましたが、うさぎは人間や犬猫とは治癒する過程が違うので、しかも半身麻痺だと難しいかも・・と言われました。
んーーーーーーーーん・・・・・ 希望を持とう・・・
ラップ療法開始(10/04/21)
やり方は単純です。ミルの傷にワセリン(家にあったので)を塗ってラップ(自宅にあったのはクレラップ)を巻くだけです。
家にある材料で出来る治療法を選択しました。
あとは、囓り対策をなんとか頑張る・・・・・(^^;;;
欠点もいくつか出てきますが、その都度なんとか・・・・(^^;;;
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画像3−2
ミルが自己デブリしてくれた足背にラップ療法を始めました。ワセリンを塗って、ラップをくるんと巻いただけです。その上から包帯をして靴下をはかせておきました。
一日目!翌日です。
真ん中がうっすら赤く、周りがうっすら白いのがわかります。この白いところ、「上皮化」と言って、新しい皮膚が再生されてくる兆候です。
たった一日の「可能性」を見ただけで気持ちは嬉しくなりました。
動物は毛に被われているため、「貼る」という作業が難しいですね。ラップは、蒸れる・正常皮膚がふやけると言う欠点があります。本当は、傷部分だけを被えればベストなのですが。。。
*獣医師の教え
うさぎの場合は「半湿潤状態くらいがいいらしい」という見解でした。ここでもうさぎは難しいようです。
ラップはしなくてもいいかもしれないと仰っていただきました。 |
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毛に付いているワセリンを拭こうとすると、なんとバリバリ(まさにそんな感じ)と、皮膚が脱皮の如く剥がれ落ちてきました。
これには怖いほどビックリしましたが、獣医師に相談すると、
もともと傷があり瘡蓋状態になっていたのではないか、そこにワセリンが浸潤し剥がれやすくなったのではないか、とのことでした。そして、剥がれる所まで剥がしていくと・・・・・
なんと、あの「腱」の部分も脱皮(^^;;;
腱は血流の無いところなので、被服されるのは難しく、いずれは切れてしまうだろうと予測されましたが、そこは半身麻痺の強み。なんでもいいから傷が治ればいいなぁ〜(笑)
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画像5
一日目にして画像1・2・3が繋がりました。
左端の少し黄色く見えるところが腱です。
痛々しいですが、このピンク色はとてもいい状態です。果たしてこの先どうなるでしょうか・・・
もしももしも毛が生えるようなことがあったら・・
いやいや、
せめて皮膚が出来れば、また赤飯だっ! |
ミルのこの脚もキレイに治ってほしいけれど、道はかなり厳しそう・・・・・・(^^;;;;
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画像6
だって囓るし・・・・・・・・・・・・・・
治療始めて3日目のこと・・・ |
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画像5の傷はとてもキレイになってきました。
なにもなければ、このまま表皮が形成される希望がもてると思います。
それに比べ・・・
画像6の傷・・・
この色は、不良肉芽といってこれこそデブリートマンが必要な不要壊死組織です。
このような不良肉芽の上からは、どんな治療も無意味です。それこそ健康ならば下から押し上げる力もあるでしょうが・・・普通はデブリします。
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画像7
ホントにトホホ・・・・
治療6日目また新たな傷を・・・・・
ミルのバカ・・・
せっかく治ってきてるのに・・・・
この傷は小さいし浅いので放置。
白い所は画像6の傷。
全くダメです。
また、ミルに自己デブリさせようかとマジ悩む |
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保護用の靴下は手袋切ったりゴムを入れたり・・
母さんは夜なべをしてチクチク縫ったりしましたが・・・・
サイズ的にジャストフィットで○だったのに
足の付け根までキッチリ履かせておくことが難しい・・・・
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ナンでもシンプルがベスト♪
結局、靴下をはかせて上からゴムで止めるのが一番ズレない。
けれど、これでも充分じゃない。
褥創が出来る前に、何か工夫できると良いのですが・・・ |
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一週間の比較(10/04/27)
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画像5ー1
上が初日。下が一週間後です。
傷が上皮に被われつつあり、わずかに縮小してきました。神様、このままいきますように・・・・・(祈)
ま〜これまで何度神に祈ったことか・・・(^^;;;
ここから先の経過が長いような気がしますが・・・
ミルも元気でまだまだ逝きそうにないので、気長にやっていきましょう(^^)
まだ、手術の跡の毛も生え揃っていないし、せっかくなのでうさぎさんらしく全身ふわふわになるといいなと密かに思っています。
追いつくのかな・・・・
だからミル、もう囓らないでね・・・
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