和歌と俳句

懐風藻

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大友皇子

侍宴
皇明光日月 帝徳載天地 三才並泰昌 萬國表臣義

宴に侍す
皇明 日月とてり 帝徳 天地にみつ 三才 ならびに泰昌 万国 臣義を表す

述懷
道徳承天訓 鹽梅寄眞宰 羞無監撫術 安能臨四海

懐ひを述ぶ
道徳 天訓を承り 塩梅 真宰を寄す 羞づらくは監撫の術なきことを いすくんぞよく四海に臨まん

「皇明」とは、天子のすぐれた徳。「帝徳」も同じ意味です。
「三才」とは、天、地、人。
「真宰」とは、天地を主宰するもの。
「塵外」とは、俗世間を離れた場所。
 大友皇子は、天智天皇の第一皇子で、皇太子は大海人皇子でしたが、天智天皇の10年正月に、実質的には皇太子と同等の太政大臣になりました。
 大海人皇子と額田王の娘の十市皇女を妻としましたが、壬申の乱では、大海人皇子と戦い、敗死しました。
 壬申の乱が起こる前、大海人皇子が吉野に去り、天智天皇が崩御された後に国政を執られたということで、明治三年になって、弘文天皇の名を贈られました。

河島皇子

山齋
塵外年光滿 林間物候明 風月澄遊席 松桂期交情

山斎
塵外 年光満ち 林間 物候明かなり 風月 遊席に澄み 松桂 交情を期す

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