all rights reserved, Copyright © SCFNET 超臨界流体NET更新日:2020.08.13/352 by SCFNET
SCFNETロゴ

■ 加飾・含浸 (SuperCritical Fluid Impregnation)

全体観把握目的で色々な公表情報を基に作成しているため、整合性が取れない場合もあります。自ら検証して御使用下さい。

  • 1. 染色、SiO₂の含浸
  • 2. モノマー
    含浸・重合法
  • 3. プラスチックの
    無電解めっき
  • 4. 昇圧・高密度化
    含浸法
  • 5. 木材への防腐剤・防蟻剤の含浸
  • 6. 有機高分子への
    銀の含浸

sitemap

目的で探す
  • HOME
  • What's New ! プロフィール!
  • 特異性と特性
  • 超臨界流体の歴史
  • 応用・適用分野 SC-CO₂
    • 抽出・除去・洗浄 :
      • 適 用 例
      • 高圧抽出例
      • セラミック脱脂例
      • 連続抽出
      • 半導体洗浄/除去
      • フロー図、シリーズ運転
    • 乾燥
    • 加飾/含侵
    • 成膜 SCFD
    • 微粒子
    • 殺菌
  • 物性図・Data SC-CO₂
    • CO₂モルエル線図(エンタルピーvs圧力)
    • CO₂密度
    • CO₂粘度
    • CO₂熱伝導度
    • CO₂定圧比熱
    • CO₂プラントルPr数
    • CO₂拡散係数
    • CO₂溶解度パラメータSP値
    • CO₂誘電率
    • CO₂蒸気圧
    • CO₂相平衡
    • CO₂表面張力
    • CO₂と樹脂
    • CO₂ 設計用 飽和近辺
  • 工業化・スケールアップ
    • 高圧ガス保安法

      消防法/危険物

    • 温室効果ガス

      CO₂回収・循環・精製

  • 国内企業webリスト
  • 海外企業webリスト
  • 主要文献 SC-CO₂
  • セミナーと開催実績
  • 超臨界水ケミカルリサイクル
  • 超臨界水・物性
    • H₂Oモルエル線図(エンタルピーvs圧力)
    • H₂O蒸気圧
    • H₂O密度
    • H₂Oイオン積
    • H₂O誘電率
    • 露点と水分量
  • MAIL
  • その他LINK
    • 二酸化炭素回収・除去
    • 流量vs径・流速・圧損
    • アントワン式定数
    • 単位換算
    • 溶解度パラメータ(SP値)
    • 周期表
利用条件cookie利用 マンタ
マンタ
有機高分子への超臨界CU2の適用

図1. 有機高分子への適用

 超臨界CO₂は高分子材料に対して制御性の高い溶媒で、この特徴を活かし、高分子材料の成型加工、機能化処理に応用する多数の研究・開発例が報告されています。可塑化効果を利用した混練や発泡成形などに加えて、染色・親水化・ 撥水化、金属注入(メッキやナノ粒子含浸)などの高分子材料表面への機能剤含浸・加飾法が特に注目されています。CO₂による高分子材料に対する可塑化効果他をCO₂と樹脂に示します。

超臨界含浸染色

図2. 超臨界CO₂染色試験装置
@200710デルフト工科大学

実際に、スポーツフットウェアの世界的企業ナイキ社(米国NIKE, Inc.)が、“超臨界二酸化炭素”による無水染色技術(参考:左図)を「アスリートと地球環境の両方に貢献する」ために業界全体に普及させていくと2012年2月に、2013年末 には台湾で操業開始したと発表しました。また、2013年6月にアディダス社(ドイツADIDAS AG)がDryDyeと称し、同一技術で「世界の2年間の染色で地中海の海水相当量の水を消費。が、2012年に50,000枚のTシャツをDryDyeで染色、1,250㌧の水を 削減した。今年は百万ヤードの無水染色を達成した!」と、環境貢献への取組みを発表しています。日本でも1990年代後半から超臨界CO₂染色技術の研究が福井大学を中心にして行われてきました。

超臨界含浸イメージ図

図3. 超臨界含浸イメージ図

これらの含浸処理においては、超臨界CO₂存在下で材料が可塑化し、超臨界CO₂に同伴して薬剤(機能性発現物質)が材料の分子間隙へ効率的に浸透することによって薬剤と材料との密着性が向上します。あるいは、極微細で複雑な 形状の材料表面全体を均一で、コンフォーマル(形状適応性良く)に薬剤で処理できることなどが、CVDやPVD等の気相法と異なる特徴として期待されています。

1. 高分子材料への表面制御 / 染色、SiO₂の含浸

超臨界含浸

図4. 超臨界CO₂によるSiO₂の含浸、染色

 超臨界流体NETらは、ポリカーボネイト(PC)板の染色とポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムへのSiO₂の含浸を行いました(左図)。超臨界染色では、大気圧下における単なる塗布と比較して10倍以上の深さの数百μmまで染料 (青色Blue-35他,エタノール共存下)が拡散し、SiO₂含浸では、数十μmまで拡散することを確認しました。従来染色が困難であったポリプロピレンやハイテク繊維の染色も可能にします。欧州ではこの技術を、表層から15μmまでの樹脂の硬度 を少なくとも5 Mohs’(アパタイト相当)に硬化した使い捨て手術用樹脂製メスなどに適用する工業化検討が進められ、ナイキ社らは前述のように超臨界染色を世界的規模で展開しています。

有機高分子PMMA(アクリル樹脂) PC(ポリカーボネイト)
含浸・
 機能発現物資
TEOS TEOS : テトラエトキシシラン、CAS番号 78-10-4、
    Si(OC₂H₅)₄ / SiC₈H₂₀O₄、分子量 208.33
    融点:-77℃、沸点:-166℃、有毒・引火点:45℃
含浸条件20MPa-40℃-CO₂(10ml/分)+TEOS(2ml/分)g)供給 → 2Hr含浸 → 減圧・取出し (CO₂のみのリンス工程無し)
→ 60℃-2Hr加水分解処理(25%アンモニア水:1wt%+エタノール99wt%
備 考 -表面でSiO₂膜クラック発生

 右表にSiO₂の含浸試験条件の一例を示します。TEOSは加水分解反応で、SiO₂とエタノールを生成します。
Si(OC₂H₅)₄ + 2H₂O -> SiO₂ + 4C₂H₅OH

2. 超臨界モノマー含浸・重合法による表面処理  (成形加工、19, p.287 (2007)、特登4,477,790)このページのトップへ

表面処理を行うにあたって、CO₂と薬剤の親和性が高分子と薬剤の親和性よりも強すぎる状態の場合、高分子への薬剤固定化が進みにくいです。その結果、十分な表面処理ができなくなります。この親和性の制御(CO₂と高分子材 料の間での分配制御)が重要な因子になります。繊維や高分子材料に対して超臨界CO₂染色を行う場合、微量の薬剤含浸で十分な発色効果があるため、あえて超臨界CO₂に対する溶解度が低い物質を用いて対象材料への分配を高め ることが有効であるとされています。また、圧力や温度を変化させることによって超臨界CO₂の物性を変化させる溶解度制御方法も一般的で、微粒子の表面コーティング等の商業化例も知られています。超臨界CO₂の特徴を活かし た応用性の高い高分子材料の表面修飾法の開発を目標として研究・技術開発が行われています。そのなかで、汎用樹脂に比べて超臨界CO₂を利用しても含浸性があまり期待できないエンジニアリングプラスチックの機能付加(撥水・親水化) を目指して、超臨界CO₂に溶けやすい低分子のモノマーを高分子材料表面に含浸させたあと重合により高分子化し材料表面に固定化させて成膜する方法が検討されています。

超臨界モノマー含浸・重合法

図5. 超臨界モノマー含浸・重合法

 目的とする表面機能性を発現する成分Aと密着性を発現する成分Bとを適宜組合せ、親和性を制御し、機能性と密着性の両方を発現させることに特徴があります。表面処理対象である高分子材料としてポリイミド樹脂(東レ・デュポン社のカプトンフィルム)、 表面機能成分Aとして撥水性付与剤(メタクリル酸ヘプタデカフルオロオチクルエチル)、親水性付与剤(メタクリル酸+ポリオキシエチレン含有反応性エポキシ化合物)を各々使用し、密着性発現成分Bとしてメタクリル酸ステアリルを用いて超臨界モノ マー含浸・重合含浸します。当該超臨界処理の効果を確認するために、処理前後のポリイミド樹脂表面における水の接触角を測定。測定方法として、サンプルの表面を実験用ティッシュペーパで30回拭取ったあとの表面に液滴を落としてその接触角を測 定。また、拭取ったあとにエタノールまたは水で洗浄し、続いてサンプル表面に液滴を落としてその接触角も測定し、大気圧下で単に機能性成分を塗布したものと各々を比較しています。測定の結果、超臨界処理したときの接触角は未処理のものと比べ て、+15~25度程度の撥水化度、あるいは、親水化度が保たれる結果が得られています。さらに、形成された皮膜の耐久性も高いことも確認されています。機能性発現物質としての成分Aの種類を適宜選択することにより、撥水化表面~親水化表面という 異なる表面機能性を発現させ、それらが樹脂成分に親和性の高い成分Bの利用によって密着度が高まることが示唆されます。

 モノマー成分の利用は、超臨界CO₂への溶解性を高める点や2種のモノマーの選択と混合比率による表面機能や密着性の制御可能性が向上するという点から、分子量の大きい薬剤を用いるのに比べて、表面処理剤の最適化に対して自由度が高まる ものと考えられます。本方法の原理を応用することにより超臨界CO₂の特徴を活かした高耐久性表面機能化技術への展開が可能と考えられます。

3. プラスチックの無電解めっき

超臨界無電解めっき

図6. 超臨界無電解めっき

 プラスチックは各種の用途に利用されているが、化学エッチングされやすいABS樹脂以外は、母材と薄膜との密着性が問題となります。このため、a)高密着性(エッチング無しで強アンカー効果)、b)環境負荷低減(六価クロム他未使用)、 c)めっき工程数の縮減を目的として、プラスチックの可塑化を活用した超臨界CO₂無電解めっき処理の研究開発が行われました。例えば(下図参照)、堀らは、アラミド繊維に銅めっきした素線(~0.3Ω/m)が、鋼線の約300倍もの屈曲耐久 性があることを確認し、自動車ワイヤーハーネスなどへの展開を検討されました。

アラミド繊維への同めっき

図7.アラミド繊維への超臨界含浸・銅めっき

 プラスチック表面のめっき法によるメタライジングを行うためには、プラスチック表面上にPdなどの触媒核を担持する必要があります。既存技術は、エッチング等により表面を粗面化したあとにPdを担持していますが、エッチングが難しい ポリイミド、ポリアミドのようなエンジニアリングプラスチックに対し、超臨界CO₂の拡散性及び浸透性の高さに注目し、超臨界CO₂条件下でPd成分をポリイミドに含浸させる条件を検討しました。Pd化合物として、超臨界CO₂ に溶解可能な有機錯体であるアセチルアセトナトパラジウム(Pd(acac)₂, 1.219 x10-6mol/L)を利用してポリイミド表面に353K、15MPa、処理時間1時間でPd化合物を含浸させました。

Pd触媒含浸

図8. 超臨界CO₂によるPd触媒含浸

 超臨界CO₂法と従来法(Pd/Sn水溶液浸漬法)のPd含浸後のポリイミド表面状態をAFMによって観察した結果、同一視野面積(25μm2)でポリイミド表面には従来の浸漬法では十分なPd核が担持されていない(1個)のに対し、超臨界CO ₂を用いてPd(acac)₂を含浸させた方法では同一視野面積にPd核が数十以上観測されました。樹脂種によりCO₂による膨潤・可塑化の程度が異なり、図8に示すようにPdの含浸深さは異なるがPdが表層から150nm~1μm深さまで含浸して いることが確認されました。

4. 超臨界CO₂昇圧・高密度化含浸法  (特許4,167,993)このページのトップへ

超臨界含浸

図9.難注入材への超臨界含浸

 高分子材料や木材などの多孔質物資の隙間や孔の中に機能性物資を浸透・含浸させる方法として、溶液に圧力をかけて無理やり孔に溶液を押し込む液体圧入法(JIS-A9002)があるが、一般に液体の粘性が10-3Pa・s程度あるため、狭い隙間に入っ ていくことは難しいのが現状です。このため、低粘性・高拡散性の特長なども利用した超臨界CO₂含浸法などが利用されるますが、粘性が低く(0.033x10-3Pa・s @ 15MPa(g), 80℃)、拡散係数が大きいとしても、その違いは水に比べて何桁も大き いわけではありません。含浸にはどうしてもある程度の時間が必要となります。この課題を解決するため、超臨界CO₂の特徴を生かした超臨界CO₂昇圧・高密度化含浸法(特許4,167,993)を開発しました。

超臨界含浸 超臨界含浸

図10. 超臨界CO₂昇圧・高密度化含浸法:密度変化

 超臨界状態におけるCO₂の密度と温度・圧力の関係を図10に示します。例えば、温度が60℃と一定のとき、圧力が10MPaから30MPaに上昇すると、その密度は300kg/m³から820kg/m³と520kg/m³上昇し(図10中上向き矢印)、上昇後の密度と上昇前の密 度との比は2.7になります。10MPaのときのCO₂は相対的に低密度であるため、拡散係数が高く、これに薬剤を含浸すべき多孔質材料が接していると材料中に存在していた空気などのガスは容易にCO₂と置換されます。密度が上昇することにより、 CO₂の体積が減少し、体積が減少する前にCO₂中に溶解していた物質は収縮した後のCO₂が占める場所に必然的に移動することとなります。この結果、速やかな物資移動が生じることになり、多孔質材料内部まで薬剤を含浸されることが 可能になります。図10に密度上昇前の圧力(P1:横軸)と密度上昇後の圧力(P2:縦軸)の組み合わせと上記密度比(d2/d1)の関係を示します。薬剤の材料中への含浸効果を重視すれば、密度比の値が大きいほど良く、少なくとも2以上、できれば3以上にする のが好ましいです。

超臨界含浸

図11.超臨界CO₂による木材への防腐・防蟻剤含浸

     表 超臨界CO₂昇圧・高密度化含浸法での含浸結果
木材 種薬剤
濃度
相溶剤
濃度
圧力密度密度
比
含浸
深さ
P1P2P1P2
[wt%}[wt%][MPa(g)]{kg/㎥][-][mm]
スギ辺材0.054.515➡608➡1< 1
0.054.530➡830➡1< 1
0.252.530➡830➡1< 1
0.502.530➡830➡1< 1
0.054.57301598305.25
0.252.57301598305.2> 10
15306088301.45
スギ心材7151596083.8> 10
7301598305.2> 10
10302968302.8> 10
カラマツ心材7151596083.8> 10
7301598305.2> 10
10302968302.8> 10

注記:試験温度は、60℃。密度比は、圧力P2時のCO₂密度 ÷ 圧力P1時のCO₂密度 です。
    < 1は、含浸深さが1mm以下、> 10は、含浸深さが10mm以上である事を示す。

この原理を実際に木材への防腐・防蟻剤の含浸に適用検討した結果を図11、右表に示します。1辺が20mmの正方形断面を持つ長さ100mmの木材(スギ、カラマツ材)辺を試験片としました。金属石鹸の一種であるバーサチック酸亜鉛を石油 系溶剤に10wt%溶解したものを木材に含浸させ、ジチゾンのクロロホルム溶液を塗布して赤色発色により含浸領域の深さを測定しました。この結果、密度比(P1/P2)が2.8以上の条件おいて全て10mm以上の含浸深さで薬剤が確実に木材中に浸透していること が確認されました。
 本昇圧・高密度化含浸法ではありませんが、超臨界CO₂による木材への防腐剤の含浸が既に欧州で下記5項に示すように工業的に行われています。

5. 木材への防腐剤・防蟻剤の含浸このページのトップへ

木材の大敵である腐朽(腐って形が崩れる)・シロアリなどによる木材の劣化を遅らせ、木材の耐久性を向上させるために、木材保存剤(防腐剤・防蟻剤)が木材に含浸されています。通常、この含浸は、乾燥した木材を注入タンクに入れ、 減圧することにより木材中の空気を排出し、その後に木材に浸透させる木材保存剤(薬液)を缶内に充満させ、約1.5MPaの圧力をかけながら木材内へ含浸(注入)させ、その後、薬液を回収し、もう一度、注入タンクを真空にして木材表面の余分な薬液を 取り除き、注入タンクから取り出し、養生・乾燥させる加圧注入処理法が使用されています。

Natex社超臨界木材含浸

図12. Natex社(オーストリア)製作の
超臨界CO₂木材含浸装置より

この木材への防腐剤の含浸に、多孔質体内への浸透性に優れ、木材内の空気の排出や薬液回収のために真空にする工程や乾燥工程が不要になる超臨界CO₂含浸法が図12に示すようにデンマークで実用化されています。
この装置を開発したのはFLS miljo a/s社(Denmark)で、製作したのはNatex社(オーストリア)で、以下で使用されています。(主要文献の参考文献番号22他より)
 ・ 保存剤として金属を全く使用せず、無害な有機系保存剤を使用、環境に優しく、そのまま木材廃棄
  できる。
 ・ 使用する有機系保存剤:テブコナゾール、プロピコナゾール、IPBC(Iodo-propynyl-butyl-carbomatc)
 ・ 有機溶媒の代替として、超臨界CO₂を使用。
 ・ 周辺部と共に芯部にも含浸ができ、含浸時間が短縮できる
 ・ 対象木材:松、スプルース
 ・ 木材の物性変化が無く、木材中水分含有量等の変化も無く乾燥している。
 ・ 実装置稼働年:2002年3月、処理容器:8m³(内径1.8m、横置き、水平急速開閉蓋) x 3基、年間処理量:40~60千m³
         処理最大木材サイズ:6,600x1,100x1,100mm、処理時間:2~5時間/Batch
 ・ 260~800倍スケールアップの実装置、含浸はパイロットプラント(30Liter容器、150x75x75mm木材処理)と同等の品質が
  得られた。しかしながら、ボードで溝ができる機械性質トラブルが発生し、解決に9ヶ月かかった。

上記を受け、運営者らは、以下の開発を行いました。
 ・ 含浸評価のためには少なくとも10mmの含浸深さが必要との事で、20mm角の評価試料を使用した。
 ・ 含浸状況の管理・評価のために、発色剤を使用した。
 ・ 薬剤含浸は、ジチゾンを塗布し、金属キレートでの発色で評価した。
 ・ 木材長手方向の切断面より含浸が進まないように端部封止材を使用した。
 ・ 木材内部と外部の差圧が1.5~2MPa程度あると木材は破壊するため、配慮した。
 ・ 使用防腐・防蟻剤:イミダクロプリド(防蟻剤)、シプロコナゾール(防腐剤)、シラフルオフェン(防蟻剤)、IBTE(防蟻剤用共力剤)
 ・ 使用呈色剤:バーサチック酸Zn、オクチル酸Zn、ナフテン酸Zn、DBF(ジデシルジメチルアンモニウム・四フッ化ホウ素酸塩)
 ・ 使用相溶剤:アルコール類:エタノール(EtOH)、1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール
     グリコールエーテル類:EHDG(エチルヘキシルジエチレングリコール)、 DGME(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、DGEE(ジエチレングリコールエチルエーテル)
           極性溶媒:NMP(1-メチル-2-ピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)
          低極性溶媒:ヘキサン
 ・ 使用木材 : ベイツガ、スプルース

超臨界含浸での含浸濃度

図13. 相溶剤濃度による含浸可能な亜鉛Zn溶解濃度

この結果、以下の事が分かりました。

① 呈色剤は、脱金属の観点で、DBF、TCMTBを検討したが、溶解性、発色性で、利用困難との結論が出た。この結果、バーサチック酸Zn、オクチル酸Znを採用した。
② 相溶剤は、エタノールが含浸性能の観点で良いが、臭気、可燃性等の観点でEHDGを採用した。
③ 薬剤は、イミダクロプリドの溶解性が悪く、利用困難で、シプロコナゾール、シラフルオフェン、IBTEは、CO₂に0.5%程度溶解するため、採用した。
④ 乾燥(リンス)工程(120分)を設ける事で、木材からのEHDGなどのVOC発散濃度を1/5に低減できることを確認した。

高温高圧研の銀含浸

図14. 高温高圧研の銀含浸

6. 有機高分子への銀の含浸このページのトップへ

有機高分子の高機能化を目的として、材料表面近傍への金属微粒子の含浸の研究が高温高圧流体研究所(香川県)で行われましたので、その概要を下表と図14で紹介します。

有機高分子PMMA(アクリル樹脂)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエステルテレフタレート) CR39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネイト)
含浸・
 機能発現物資
AgFOD : (6,6,7,7,8,8.8.-heptafluoiro-2,2-di-methyl-3,5-octanedionate) silver、CAS番号 76121-99-8、Ag(OCC(CH3)3CHCOCF2CF2CF3)、分子量 403.04 Ag(acac) : 銀アセチルアセトナート、CAS番号 15525-64-1、[CH3COCH=C(O-)CH3]Ag、分子量 206.98
含浸条件AgFOD溶解度:Max350mg/L-50℃/20MPa-CO₂
30MPa-35℃-CO₂/アセトン10mol%/2Hr含浸 → 同条件で0.5Hr錯体洗浄 → 減圧・取出し → 160℃-2Hr熱還元処理
25MPa-(50~)90℃-CO₂/アセトン10mol%/2Hr含浸 → 100℃で分解開始、110℃/2Hr還元、大気圧とSCF中還元を比較、樹脂中含浸のため、SCF中還元が可塑化維持され粒子が成長。
備 考成形加工、第15巻第9号 p626 (2003)高分子論文集、Vol.62,No.4 p183 (2005)

  • 委託業務
  • お問い合わせ
THANKS! 又、どうぞ
●TOP ●HOME ●What's New! Profile! ●応用・適用分野 ●国内WEB ●海外WEB ●MAIL ●サイトマップ

footerイラスト footerイラストfooterイラスト

注記:使用数値・図は全体観を把握する事が目的で、試験研究・設計等に使用する事を前提としていません。記載内容を利用される場合は自ら数値等を確認・検証し、自らの責任にてご使用下さい。 このページのトップへ
all rights reserved, Copyright © SCFNET 超臨界二酸化炭素⇑このページのトップへ