
図1. 超臨界CO₂抽出装置基本フロー図
シリーズ運転/助剤供給/二段分離
超臨界プロセスで使用するCO₂は、アンモニア製造や石油精製プラントなどから反応副産物として排出され、回収液化されたものをリユースとして使用するものです[*1]。しかしながら、環境省温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル第II編温室効果ガス排出量の算定方法によると、
例えば、アンモニア製造過程で回収し、他人へ供給する場合のCO₂は排出量の算定外となります[*2:2.算定方法の概要2.1(6)末尾(回収量を控除した量を排出量として報告することができる:Ⅱ-18上部/pdf24枚目)]。その回収されたCO₂をリユースするドライアイス、溶接や噴霧器から排出されるCO₂は排出量として算定されます[*2:Ⅱ-98,100/pdf103,105枚目)]。
このため、超臨界プロセスで使用するCO₂も温室効果ガス排出量として算定されると考えられ、CO₂の回収・精製・循環使用が従来以上に重要になっています。
[*1]日本液炭(株)ホームページ、https://www.n-eco.co.jp/co2/manufacture/ (2026/8/15accessed)
[*2]環境省温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル、https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/manual/chpt2_6-1.pdf (2026/8/15 accessed)

図2. CO₂凝縮圧力による凝縮熱、冷凍機負荷と冷凍機電力
【二酸化炭素の回収・循環】
CO₂の回収・精製は、臨界圧力以下に減圧して行いますが、回収圧力によりエンタルピーが大きく異なります。回収条件としての圧力・温度の違いによるエネルギーの比較を物性図集/飽和近辺に示します。
例えば、回収圧力が4MPaと6MPaでは、使用できる凝縮用冷却媒体の違いもあり、4MPaの条件での電気代が大幅に高くなります。
逆に、CO₂純度の向上は4MPaの低圧の方が容易になります。
また、温室効果ガス排出量の削減目的のため、圧縮機で分離・回収圧力以下のCO₂を積極的に回収する場合も圧縮比との兼合いで回収する費用が大幅に異なってきます。

図3. 冷媒温度と冷凍機電力
図2左図に、CO₂凝縮圧力による冷却負荷、冷凍機電力への影響度を示します。2MPaの凝縮圧力の場合、6MPaと比較し、凝縮熱が約2倍、冷却(必要負荷)熱が約1.5倍に増加し、凝縮温度の低下による冷凍機効率の低下で冷凍機電力は、約5倍の急増となります。
必要負荷1.5倍に対し、消費電力が5倍増になるのは図3に示すように、温度が低くなる程、冷凍サイクルでの圧力差が大きくなり圧縮機動力が大きくなり、COP成績係数が急激に悪化することによります。(注記 :採用する冷媒、冷凍機の効率により、上記数値は変動します)
図2の2MPa凝縮時の年間電気代は、概略114百万円/年となり、6MPaとの比較では約91百万円/年の増加となると共に、冷凍機の設備投資額の増加による減価償却費も増加します。一段分離後のCO₂の精製を蒸留操作等で行う場合は、還流液の凝縮熱により、更に必要な冷凍機負荷の差が増大しますので、凝縮=回収圧力は慎重に検討する必要があります。
【二酸化炭素の回収・精製】

図4.粗留エタノール精製
CO₂中の不純物の回収、除去、精製プロセスとしては、各種方法があり、上流(抽出・処理)工程との相関と用役条件も含めた最適化検討により、選定されます。吸着法と大流量プロセスに適用される蒸留法を比較しますと、概略下表のようになります。
| - | 吸着法 | 蒸留法 (図4、5) |
| 1.原理 | 温度による吸着性能差 | 沸点差 |
| 2.操作 | バッチ (適度の条件での再生が必要) |
連続 (CO₂との比揮発度差が必要) |
| 3.機器構成例 | 蒸発器→粗分離器→吸脱着塔(2塔)→凝縮器 | 蒸留塔(付属機器:リボイラ、還流凝縮器) |
| 4.必要設計データ | 設計吸着量、再生温度、吸着剤物性値 | 不純物物性値(比揮発度、熱物性他) |

図5. 蒸留法(緑色表示部) 連続CO₂回収・精製フロー図
吸着法は、不純物の種類に応じた吸着剤を使用して不純物を吸着除去します。例えば、不純物が有機系の場合は、活性炭を使用し吸着・除去しますが、再生が簡単ではないので、多量の不純物を除去するには向いていません。
水は活性アルミナや合成ゼオライトで吸着・除去し、再生は、吸着剤を加熱して脱着・再生します。水分量が多い場合は、吸着塔を2塔使用し、吸着と再生を交互に行い、CO₂を連続脱水します。
不純物量が多い場合には、図4に示す蒸留法が用いられます。
図5は、粗粒アルコールからのエタノール連続抽出プロセスで、不純物除去塔を出た不純物抽出後のCO₂は、充填材が充填された溶剤回収塔の中間(原料)段に供給され、溶剤回収塔トップから精製済みCO₂(還流液)と気液接触し、
CO₂中の不純物が還流液中に物質移動して、CO₂が精製され、溶剤回収塔トップからガス状態で排出され、凝縮器で液化し、一旦、タンクに蓄えた後に溶剤循環ポンプで、精製されたCO₂が不純物除去塔に送られ、不純物の抽出に使用されます。
原料段より下では、リボイラー(蒸発器)からのCO₂リッチガスが上昇するに連れて、原料段より上側から落ちてくる不純物リッチな液と気液接触され、溶剤回収塔ボトムから、濃縮された不純物が排出されます。
応用・適用分野 / 抽出・除去/洗浄 / 連続抽出に示すパイロット規模装置の運転では、以下のような結果が得られています。
| ・原料供給:不純物含有CO₂ | 400 kg/Hr、99.74mole%-CO₂、0.23mol%-水、0.02mol%-エタノール、53ppm-n-プロパノール 他 |
| ・還流液 : | 120 kg/Hr、還流比 = 120/519 =0.23 |
| ・塔底液:不純物濃縮液 | 1.6 kg/Hr、49.5mole%-CO₂、42.9mol%-水、5.5mol%-エタノール、10,088ppm-n-プロパノール 他 |
| ・回収・循環CO₂ | 418 kg/Hr、99.98mole%-CO₂、0.02mol%-エタノール (注記:不純物エタノールは、塔頂からの流出成分では無く、溶剤圧縮機から供給されたものです) |
| ・溶剤回収塔 | 165.2O.D. / 143.2I.D. x (10,070+4,350)T.L.- 5/8Bホールリングx 7,000mmx 4段、中間リボイラー有 |
