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物性 / CO₂ 二酸化炭素の相平衡 

全体観の把握目的で色々な公表情報を基に作成しています。整合性が取れない場合もあります。自ら検証してから使用して下さい。

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  【構成】
   (1) 水と二酸化炭素 : ①相溶性(全体観)、②圧力vs水の溶解量図、③圧力vs水へのCO₂溶解量図、
④水の量に対する平衡圧力図、⑤ハイドレート生成領域図
   (2) 水とエタノールと二酸化炭素
   (3) アルコールと二酸化炭素 :  ①エタノールとCO₂の相平衡図、
②イソプロパノール(IPA)とCO₂の相平衡図、
   (4) トルエンと二酸化炭素、   (5) ヘプタン、アセトン、ヘキサンと二酸化炭素
   (6) トリグリセリド(中性脂肪)と二酸化炭素

 

(1) 水と二酸化炭素の相平衡

二酸化炭素は非極性流体で、水は極性流体のためお互いに余り溶解しません。水に二酸化炭素が溶解するとイオン化し、炭酸水になり、ペーハがpH=3以下の酸性水溶液になります。 二酸化炭素に多量の水を溶解させたい場合はエタノール等の助剤/エントレーナを使用します((2)項参照)。また、二酸化炭素は水とハイドレート/クラスレートを生成するため、高圧状態で配管等が閉塞する場合があるので注意が必要です。

① 相溶性 (全体観)

二酸化炭素と水の相溶性

CO2(g) ⇔ CO2(aq)
CO2(aq) + H2O(l) ⇔ H2CO3(aq)
H2CO3(aq) ⇔ HCO-3(aq)+ H+(aq)
HCO-3(aq) ⇔ CO2-3(aq) + H+(aq)
注記:pH図は以下の文献データを基に曲線を滑らかにしたイメージ図です:
 ・The Journal of Supercritical Fluids,129-137 (10) 2013
 ・International Journal of Greenhouse Gas Control, 190-203 (66) 2017
② 圧力 vs 二酸化炭素への水の溶解量 図このページのトップへ圧力vs二酸化炭素への水の溶解量 図

 ③ 圧力 vs 水への二酸化炭素の溶解量 図このページのトップへ

圧力vs水への二酸化炭素の溶解量 図

 ④ 水の量に対する平衡圧力 図このページのトップへ

水の量に対する二酸化炭素との平衡圧力 図 水の量に対する二酸化炭素との平衡圧力 図

⑤ 二酸化炭素のハイドレート 図 (相記載が誤っているかもしれません)このページのトップへ二酸化炭素のハイドレート 図

 

(2) 水とエタノールと二酸化炭素このページのトップへ

体積収縮率 水とエタノールの混合液は、エタノール濃度が約60%(74mol%=88wt%)の時、体積収縮率が最も大きくなり、水分子とエタノール分子が最もコンパクトに存在しています。ウイスキーは、その状態で樽の中で7~12年程度熟成させる事により香味、味、多様さをかもし出すそうです。  (ウイスキーの科学/知るほどに飲みたくなる「熟成の神秘」古賀邦正著p.174より)

系の自由度を規定する考え方に、ギブズの「相律」があります。
     F = C - P + 2      F:自由度、C:成分の数、P:相の数
 例えば、CO₂のみの1成分の系(C=1)で2相(液相と気相:P=2)の場合、F=1-2+2=1で自由度が1となり、例えば、温度を決めれば、圧力が一義的に決まります。

 水、アルコール、CO₂の3成分の系(C=3)で2相(液相と超臨界相:P=2)の場合、F=3-2+2=3で、自由度が3になります。
 このため、例えば、圧力 15MPa、温度 50℃と二つの状態量を決め、1成分の濃度、例えば、水が3wt%と決めると、エタノール(30%)とCO₂(67%)の濃度は一義的に決まります。

 例えば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、四級アンモニウム、[N-(CH3)4]+OH-)水溶液は、半導体等の現像液として利用されていますが、これだけでは超臨界CO₂に溶解しません。
 この場合、以下で相溶させる事ができます。
 TMAH= 2.8wt%
 CO₂ =44.4%
 水  = 2.8%
 エタノール=50%
体積収縮率

水とエタノールと二酸化炭素三成分系の相平衡図

水とエタノールと二酸化炭素三成分系の相平衡図

(3) アルコールと二酸化炭素このページのトップへ

 アルコールは、助剤(エントレーナ、モディファイア)として良く利用されます。
 これはCO₂とアルコールが相溶する圧力(二成分系の臨界温度)が比較的低く、特にエタノールは食品にも良く利用されるためです。超臨界CO₂へ各種アルコールや溶媒が2mol%溶解する時の2成分系の臨界圧力(Pc)と臨界温度(Tc)を縦軸に取り、横軸に各種アルコール、溶媒のSP値(溶解度パラメータ)を示したものを右図に示します。
 例えば、超臨界CO₂98mol%とエタノール(δ=26.5)2mol%の混合流体は、Pc=7.8MPa以上、Tc=35℃以下で完全相溶(ひとつの相)となり、その逆では、液液の二つの相となります。
 脂肪族炭化水素(ペンタン~デカン)の2成分系のPcとTcは、超臨界CO₂のSP値(δ=4.8 @ 8MPa,40℃)から離れる、大きくなるにつれて大きな値になります。
 一方、アルコールは、逆に炭素数が多くなる(SP値が小さくなる)と2成分系のPcとTcが大きくなります。これは、アルコールの-OH基とCO₂のインターラクションが小さくなるからと考えられます。
 下図に2mol%のアルコールと、98mol%のCO₂の二成分溶液が相溶(一相)する下限圧力(Pc)と上限温度(Tc)を示します。
SP値(溶解度パラメータ)とアルコール、有機溶媒の相平衡  アルコールと二酸化炭素の二成分系の臨界条件 メタノール、エタノール、イソプロパノールと二酸化炭素の二成分系の相平衡図
アルコールの物性
名称沸点臨界圧力臨界温度SP値爆発限界HPG温度分子量
メタノール65℃8.1MPa239℃29.26.0~36vol%95℃32
エタノール78℃6.4MPa243℃26.43.3~19vol%108℃46
イソプロパノール
(IPA)
82℃4.8MPa235℃23.52.0~13vol%113℃60
CO₂-78℃7.4MPa31℃12.8 @20MPa,60℃-44

注記:HPG温度は、0.2MPa-gになる概略温度。
    高圧ガス保安法では「常用の温度において0.2MPa以上であって、
    現にその圧力が0.2MPa以上であるもの」は液化ガスとの解釈になるので注意の事。


  右図と下図に二酸化炭素とアルコール系の二成分系の相平衡図を示します。赤線、緑線、青線よりも高い圧力にすると二酸化炭素とアルコールは一相系となり、アルコールは二酸化炭素と濃度に関係なくお互いに溶け合います。
  逆に圧力が低いと二酸化炭素とアルコールの二つの液相(①アルコールが溶解した二酸化炭素の液相、②二酸化炭素が溶解したアルコールの液相)が生じます。即ち、アルコール濃度により「相」が変化するため、二成分系の超臨界状態ではありませんが、各々の相は高圧の二酸化炭素が存在することにより、興味ある性質を示します。

メタノール、イソプロパノールと二酸化炭素の二成分系の相平衡図

① エタノール(エチルアルコール)とCO₂の相平衡図このページのトップへ


C₂H₅ОH、C₂H₆О
密度:789 kg/㎥ @ 20℃

エタノールと二酸化炭素の二成分系の相平衡図

② イソプロパノール(IPA)とCO₂の相平衡図このページのトップへ


C₃H₇ОH、C₃H₈О
密度:786 kg/㎥ @ 20℃
イソプロパノール(IPA)とCO2の二成分系の低圧相平衡図

上図出典:J.Chem.Thermodynamics,32,685 (2000)
J.Chem.Eng.Data,48,1384(2003)より加工

イソプロパノール(IPA)と二酸化炭素の二成分系の相平衡図

(4) トルエンと二酸化炭素の相平衡図このページのトップへ


C₆H₅CH₃、C₇H₈
密度:867 kg/㎥ @ 20℃

トルエンと二酸化炭素の二成分系の相平衡図

(5) ヘプタン、アセトン、ヘキサンと二酸化炭素溶解度図このページのトップへ

ヘプタン  M.W.=100.21
CH₃(CH₂)₅CH₃、C₇H₁₆
Tc267.0 ℃Pc2.70 MPaA
B.P.98.4 ℃S.P.15.3
右図出典:X. Xingら, Fuel V 299,120909 (2021)

ヘプタン、ヘキサン、アセトンの溶解度図

アセトン  M.W.=58.08
CH₃CОCH₃、C₃H₆О₁
Tc235.0 ℃Pc4.70 MPaA
B.P.56.2 ℃S.P.15.5
右図出典:https://mb.uni-paderborn.de/fileadmin-mb/tdy/Publikationen/Veroeffentlichungen/CO2_Ketones-2.pdf
ヘキサン  M.W.=86.18
CH₃(CH₂)₄CH₃、C₆H₁₄
Tc234.7 ℃Pc2.99 MPaA
B.P.68.7 ℃S.P.14.9
右図出典:J of Chemical & Eng'ng Data, 26, 53-55 (1981) 他

(6) トリグリセリドの溶解度図このページのトップへ

トリグリセリドの溶解度図

トリグリセリドは、天然物油脂で、天然物由来の多数の飽和、不飽和脂肪酸のからなる複雑な脂質混合物です。

油脂の溶解度は、油脂の揮発性が高まる60℃以上では、CO₂密度を高くすると飛躍的に溶解度が大きくなる領域があり、 70℃で、密度が1000kg/㎥前後以上では相溶領域になります。このため、油脂類の抽出操作では、高圧/高密度・高温を選択し、効率を上げる場合があります。詳細は、高圧超臨界CO₂抽出の特徴を参照下さい。

トリグリセリドの溶解度図

又、左図の密度900kg/㎥に縦両矢で示すように、同じ密度であっても、油脂類の揮発性が高くなる80℃の方が溶解度が大きくなります。

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