夏帯
どかと解く夏帯に句を書けとこそ 虚子
夏帯の細きをしめて我が家かな 淡路女
夏の帯広葉のひまに映り過ぐ 久女
夏の帯翡翠にとめし鏡去る 久女
夏帯やはるばる葬に間に合わず 久女
夏帯をうすくたゝみて泊りけり かな女
夏帯に彼の鵜篝を描きたり 夜半
夏帯に折りてしまひしはがきかな 万太郎
渓音に夏帯結びこらへけり かな女
夏帯やわが娘きびしく育てつつ 汀女
きゆうきゆうと鳴る夏帯に気をとられ 立子
夏帯のきしむを気にしゐるらしく 立子
籐椅子に懸けて乾し居り夏の帯 石鼎
夏帯やつくつもりなきうそをつき 万太郎
夏帯ほのと裏の明るき漁夫の家 不死男