右大臣師輔
色深く染めし袂のいととしくなみたにさへもこさまさるかな
よみ人しらず
見る時は事そともなく見ぬ時はこと有りかほに恋しきやなそ
よみ人しらず
山さとのまきのいたともさささりきたのめし人をまちしよひより
よみ人しらず
ゆく方もなくせかれたる山水のいはまほしくもおもほゆるかな
よみ人しらず
人のうへのこととしいへはしらぬかな君も恋する折もこそあれ
返し よみ人しらず
つらからはおなし心につらからんつれなき人をこひんともせす
よみ人しらず
人しれす思ふ心はおほしまのなるとはなしになけくころかな
中務
はかなくておなし心になりにしを思ふかことは思ふらんやそ
返し 源信明
わびしさをおなし心ときくからにわか身をすてて君ぞかなしき
源信明
定なくあたにちりぬる花よりはときはの松の色をやは見ぬ
返し よみ人しらず
住吉のわか身なりせは年ふとも松より外の色を見ましや
よみ人しらず
うつつにもはかなきことのあやしきはねなくにゆめの見ゆるなりけり
よみ人しらず
白浪のよるよる岸に立ちよりてねも見しものをすみよしの松
よみ人しらず
なからへてあらぬまてにも事のはのふかきはいかにあはれなりけり