和歌と俳句

霧島

憲吉
むらさきに煙を吐ける霧島は向か國のそらにふた峯浮けり

茂吉
霧島は 朝をすがしみ おほどかに 白雲かかる うごくがごとし

茂吉
霧島は ただに厳し ここにして 南風に 晴れゆきしとき

茂吉
霧島は おごそかにして 高原の 木原を遠に 雲ぞうごける

牧水
見おろせば霧島山の山すその野辺のひろきになびく朝雲

牧水
明方の月は冴えつつ霧島の山の谷間に霧たちわたる

牧水
降りすぎし今朝のはつ雪霧島の老樹の森に白く積りぬ

山頭火
霧島に見とれてゐれば赤とんぼ

山頭火
霧島は霧にかくれて赤とんぼ