2010夏   ことば悦覧 in うるとらまんchin々  (仮想領域 大坂・京都)
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井口純子(いのくち・すみこ)井口勝文(よしふみ) 「こんにちは ! TERAUCHI八賢邸」を語る

 第 1章 新聞作る 「こんにちは ! TERAUCHI」を語る 01 02 03   

 第 2章 井口夫妻 「八賢邸を語る」 01 02 03 04  

 第 3章  いろんな話 05 06 07 08 09   こんにちは!寺内新聞 補足 10  

 第 4章 井口勝文  生い立ち と純子さんとの出会い 11 12 13  
第3章    井口勝文  いろんな話   06


 

勝文:んで、もう向うは政治家が終わったらグワァーっと頭を痛めたりなんかしながらやってるわけでしょ。ところが日本はそうじゃなくてみんな平和にやってる田舎に行くと田舎でみんなが楽しく笑いながら幸せに暮らしてる。こーんな理想郷があんのかとびっくりしたわけですよね。

その裏は何かというと、御上が全部治めてる、と。御上は御上なりに庶民がうまくいくように、と。あいつら何も考えんでも大丈夫なようにやるというのが御上の仕事であって。それで庶民はもうそれをやるのが御上の仕事なんだと、という風にお任せして、でここはここで豊かな文化を楽しんでる、と。これが僕はね、ずー〜っときてる日本の文化だと思うわ。麗しい文化

佐藤:天皇制じゃなくって 士農工商を越えて民意を誘導するインセンティブ機能が上手くいっていたし 他には祖霊信仰のような宗教が機能してたんですよ。宗教が機能してたんですよ。結局ね、今の若者にも私にも宗教が機能してないですよ。昔は一生懸命やると ご先祖様はね、見てる、とかね。で、一生懸命生きて 死んだ時にご先祖様になって、ローカルコミュニティーのみんなから尊敬される。それは嘘っぱちの話なんだけども、でもみんなそう思ってた 
勝文そうそうそう。それはその通り 
佐藤:それらが 無くなっちゃったですよ 職業もバラバラだし古来の宗教全く機能してないですよね じゃあどうすんだって話なんですよ 
勝文うん 

佐藤:だから俺は建築スフィアーって言ってんですけど。その何かにむかって、誰も見てないんだけども、そのためにやっていると思い込んで みんなで活動し生きていくと 結果はみんなのためになってしまうっていう 環境管理型社会に合った制度設計・アーキテクチャーをどうするかっていうのとね  まずはそれに対応した、言葉をつくらなきゃいけないんですよ。ご先祖様になるっていう言葉に代わる言葉を 
勝文なるほど 
佐藤:だからどうすんの 分からないないんですよ  それ言えば一発で そういうことだって理解できる ご先祖様に 代わる言葉を発明しなければならない
勝文その通りだ 

佐藤:言葉っていう 概念を見つければ みんなそうなるんだけど。ところが明治維新の廃仏毀釈もそうだけど 戦後も 宗教を否定し輸出品つくりに邁進したしまったから  銭だけで 何もない状況が続いているんで  まだイスラム社会には回教がありアメリカとかヨーロッパとかはキリスト教ってのがあるから、政治なんかそれに乗っかって稼働できている 市場ももそれに乗っかって稼働している 

日本の場合は宗教が無くなってるところに 物つくりの行き着く果て大もうけ 後のバブル崩壊によって お互いがリスクとなった社会が登場したんですよ  お互いの存在が危険だというね。 娘も息子もお父さんもパパもあなたもおばあちゃんもみんなリスクになっちゃってる そう思いこむんで閉塞しているわけですよね

勝文そう。どう、そう思う この話ね。ウチのカミさんはね、僕に説教するんですよ。
佐藤:リスク社会って言われている(希望格差社会)。家族がお互いリスクになってしまったっていうのは やっぱり宗教が壊れたことが一つの原因にあるし  あと世界中が みんなどこへでも行ける、 。モノも流れて来ると、高度情報化社会における 世界中の現代人の宿命ですよ 重い荷物 さーどうしましょうか 


 南無阿弥陀仏


勝文
ちょっとカミさんに聞いてみよう 

佐藤:じゃあ 
純子:「南無阿弥陀仏」じゃないですかははははは
佐藤:「ナミアミダブツ」ってそれ宗教じゃない  
勝文:カミさんは「我神なり我神なり」 
佐藤: 「我神なり」でいいんだけど、それではやっぱり  古い 宗教なんだと誤解されるから、違う言葉を作んなきゃいけないんですよ 

純子うーん 
佐藤:「我神なり」って言った時に、それを全部解決できたように思えた そのような概念に代わる言葉が必要なんだと思うんですよ  何もないんだけど。「あいつなんかさ、変な新宗教に入った」って思われちゃうよ 
純子そ〜なんですよね〜
佐藤:そこをどうするかなんですよ  宗教否定した時に必ずそこに帰ってくるんですよね  だからそれどうするかっていうことで、哲学的に思考できないんで俺は。建築スフィア内活動ですよね  じゃ〜みんなの話を聞いてね記録する 建築あそびだとかことば悦覧とか言ってやってるわけだけど  それを「ナミアミダブツ」とか言ったら、「ダメだ、あいつ宗教家か」と言われちゃうんだけど どうですか
勝文うんうん
佐藤:共通したベースになる宗教がもう 無いから宗教って言えないんですよね だからでも宗教のような 機能は やっぱり必要なんですよ 
純子必要なんですよね 

佐藤:人間が作った幻想だけども そんなこと分かってるんだけども。要するに人々の生きてきた記憶を引き継ぐって ことなんだよね 
勝文そう 
佐藤:記憶を作るのは、記録が無いと 記憶が引き継げない   忘れちゃうから。 5分前しゃべったことも 忘れて  何だか思い出せないんですよ 。で、こういうの(こんにちは寺内新聞)があるんですよ 

勝文
純子あはははは
佐藤:寺内新聞をつくって文字に書く 記録しておくと 思い出せるんですよ  。だから悪いことも良いことも全部記録しないとダメだっていうので   とりあえず「ナミアミダブツ」と、違う言葉を  

純子でも生活習慣みんなそうなんですよ 
佐藤:「ナミアミダブツ」で 、解決できることは・・
純子:なーんでもいいんですよ。だから自分自身がなんか信じてるものをね、大事にしてたら良いことですよね  
佐藤:そうそう、でもそれは・・
純子:その家 その家によって宗教じゃなくてもいいけれども、私なんて絵描くから、絵描くことによって、もう人間のそのなんていうか気持ちっていうのかしらね。先祖からもらったものがこうやって60歳にもなるとね。あ、親からもらったものでこうやって生きてるんだなっていうのが分かるじゃないですか 

佐藤: 言葉だって 、考え方も みんな自分で発明したもの何も無い 
純子ここに生きてるだけでもう、親からのDNAがこうやってあって、そして次に伝わっていって孫までいってると。通過点だってのも分かるし。

そうすると自分が生きてる形をなんか残せば。そこでもう私はこの絵を残して 何になるのかと思ったんですよ。 こんな絵残したって どうにも誰にも なにも展覧会毎年しててもね、見てくださる方は、あ、今年はこーなのねあーなのねって言ってくれますけど。結局誰のために残すか描いてるかって言ったら、次の世代のために描いてるんですよね 

佐藤:そう信じた 自分のためですよ 
純子:自分のために。うん。自分が今居るっていうことを一番認識してくれるのは、あー次の子供たちが見ててくれてるんだっていうのはあるかもしれない 
佐藤:捨てられちゃうかもしれないけどね これゴミや、みたいな 
純子:そうそう。もうそれはそれでいいんですよ でも、他の人よりもこうやって見てくれる 
佐藤:だから記憶を残すためには、記憶はモノじゃないから。物と置き換えなきゃ。  メディアと関係しなきゃいけないんですよ。言葉に。話会い これ、音声だから、文字じゃないから、それをICレコーダで記録していって、山口さんが文字に直してそれで可視化しでき ようやく 他の人と共有できるようにして置く

純子うん 
佐藤:それは純子さんの描かれた絵も 同じですよね 頭の中にフニャフニャってなってるイメージってやつが こうやってカタチと色をいれていくと、今の話の中身と同じ気持ちが絵で表現されてるわけですよ 
純子うん、なんでもその人が今生きてる証をね 
佐藤:絵を見た時に、逆テープ回しで、描いてる人の気持ちが理解できるくらい読み込める、そういう能力が備わってないと、純子さん気持ちも  分からない訳ですよね 
勝文うんうん 

純子そうです  そういうことなんです。だから自分でやるということが 人のことも分かって来るということです 
佐藤: なんでもやれってことだ。なーんでもいいんだ 
純子:そう。うん。あ、いいなと思ったことはなんでもやる 
佐藤:ただ 自分はこういう背景でやってるんだよっていうの 同時にしゃべらなきゃいけないんですよね 
純子:でもねやっぱり、あー自分が興味あるなと思ったら、その現象がある、その現象の背景には何があるかっていうのは 興味があれば追求するじゃないですか 

佐藤:そーだよね 
純子:うん。それが大事なんですよ 絵を見てね、あっこれは凄いなと思った時に、この作家はいつの時代のどういう環境で描いてたのかっていうのは、やっぱり 

佐藤:どんどん知りたくなる  こういう作家を生み出した人間関係も知りたいし  こういう作家を生み出した社会とかも 時代状況とか 何食ってたんだーとかも
純子そうですよ 
佐藤:どんなものを着てたんだー、どんな顔してたんだとか 普通じゃないですかそういう進展って 自分とあんまり違わないし、自分と違った人だと興味ないけど そういう風にドンドンドンドンと。時間と距離とかね、ドンドンこう近づいてきて。それがインターネットは 多くの情報処理が一瞬でできちゃうんだよ
純子:うん。
佐藤:古いとか新しいとかヒエラルキーが無いんですよ 
勝文・純子:うん 

佐藤:ただ残念ながら、気配 体臭 臭いとか汗とか出てこないから リアリティーがないんですよ 便利なんだけど。あっという間にイタリア行けるけど 青い風が通って来ないんですよ 
勝文う ん 
純子:それがあるから
佐藤:だから 可視化だけ できてるんだけども。人間はもっと 

   がやがやわいわいがやがや 

佐藤:虫や小鳥の音が聞こえて来ないんだよね。ここはしょうがないって 
純子:しょうがないじゃなくてやらないとダメ。
佐藤:そりゃ絶対やるんだけど、とりあえず今のテクノロジーじゃそれできないから 
勝文:いや、それはならないだろ
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