つらゆき
敷島の大和にはあらぬ唐衣 ころもへずしてあふよしもがな
ふかやぶ
恋しとはたが名つげけむことならむ 死ぬとぞ ただにいふべかりける
よみ人しらず
み吉野の大川のべの藤波の なみに思はばわが恋ひめやは
よみ人しらず
かく恋ひむものとは我も思ひにき 心のうらぞまさしかりける
よみ人しらず
天の原ふみとどろかしなる神も 思ふなかをばさくるものかは
よみ人しらず
梓弓ひき野のつづら すゑつひにわが思ふ人にことのしげけむ
よみ人しらず
夏びきのてびきの糸を くりかへしことしげくとも絶えむと思ふな
よみ人しらず
さと人のことは夏野のしげくとも かれゆく君にあはざらめやは
在原業平朝臣
かずかずに思ひ思はず問ひがたみ 身をしる雨はふりぞまされる
よみ人しらず
大幣の ひく手あまたになりぬれば 思へどえこそ頼まざりけれ
返し なりひらの朝臣
大幣と名にこそ立てれ 流れてもつひに寄る瀬はありてふものを
よみ人しらず
須磨のあまの塩やく煙 風をいたみ おもはぬ方にたなびきにけり
よみ人しらず
玉かづらはふ木あまたになりぬれば たえぬ心のうれしげもなし
よみ人しらず
たが里によがれをしてか 郭公 ただここにしも寝たるこゑする
よみ人しらず
いで人はことのみぞよき 月草のうつし心は色ことにして
よみ人しらず
いつはりのなき世なりせば いかばかり人の言の葉うれしからまし
よみ人しらず
いつはりと思ふものから 今さらにたがまことをか我はたのまむ
素性法師
秋風に山のこの葉のうつろへば 人の心もいかがとぞ思ふ
とものり
蝉のこゑきけはかなしな 夏衣うすくや人のならむと思へば