愚痴無智のあま酒造る松が岡 蕪村
炉に火なく時計止れる一間あり たかし
初蝶の燦爛としてやすらへり 青邨
初蝶の紋ぞ仏の燦爛を 青邨
月を待つ人皆ゆるく歩きをり 虚子
蒼海の色尚存す目刺かな 虚子
春雨のくらくなりゆき極まりぬ 虚子
何某の院のあととや花菖蒲 虚子
本尊に茶を供ずれば秋蚊出る 虚子
牡丹哀しもとより草の深ければ 万太郎
いつのまに咲いてしまへる牡丹かな 万太郎
牡丹の芽ほぐれ陶榻あたたかく 青邨
僧院は牡丹の客に苔厚し 秋櫻子
広縁を拭きて下照る牡丹あり 秋櫻子