徒歩で行く大師詣や梨の花 子規
朝霧の雫するなり大師堂 子規
菊咲くや大師の堂の普請小屋 子規
川崎を汽車で通るや帰り花 子規
御籤吉冬至のお庭あたたかに 青邨
稲塚のとつかにつづく田守哉 其角
夕風に外人の墓いよいよ白かり 山頭火
茂吉
横浜の 港にかたまれる 腹あかき 船舶にしばし 視線をあつむ
朝曇港日あたるひとところ 汀女
晩涼や運河の波のややあらく 汀女
船蟲に忽然としてヨツトかな 汀女
異人墓地木梢の海も雪ぐもる 三鬼
異人墓地十字架雪をよそほへる 三鬼
異人墓地雪の糸杉かがよへる 三鬼
異人墓地雪むらさきに夕づける 三鬼
泊つる船みな街へ向く園落葉 不死男
夜の落葉港埠にきたり靴ひびき 不死男
草枯れて港埠の鉄路柵を置かず 不死男
海港のくらさも蓋し台風期 悌二郎
行く年の湾にただよふ荒筵 不死男
航跡の白さささくれさへ冴ゆる 不死男
たらたら飛ぶ港所有の冬鴎 不死男
外人墓地浄く荒れをり秋の蝉 悌二郎
八景や冬鳶一羽舞へるのみ 花蓑