和歌と俳句

榎本其角

焼鎌を背に暑し田艸取

夏痩や能因ことに小食なり

鴫焼は夕べをしらぬ世界哉

交りのさめて又よし夏料理

松原に田舎祭や昼休み

富士行や網代に火なき夜の小屋

吹降の合羽にそよぐ御祓

蝙蝠の物書ちらす羽色哉

あの声でとかげくらふかほととぎす

侘しらに貝吹く僧よ閑古鳥

須まの山うしろに何を諫鼓鳥

明石より神鳴はれての蓋

艸の戸に我は蓼くふ蛍哉

切られたる夢は誠か蚤の跡

かたつぶり酒の肴に這はせけり

伊勢にても松魚なるべし酒迎

身のや赤子もまいる神路山

今幾日秋の夜話を春日山

ちり際は風もたのまずけしの花

馬士起て馬を尋ぬる麦野哉

麻村や家をへだつる水ぐるま



宗鑑 貞徳 季吟 宗因 来山 言水 才麿 鬼貫 芭蕉 素堂 嵐雪 去来 丈草 凡兆 史邦 杉風 荷兮 曾良 路通 越人 土芳 野坡 支考 許六 浪化 惟然 北枝 涼菟 千代女 也有 蕪村 召波 暁台 白雄 太祇 几董 青蘿 一茶