古庭に鶯啼きぬ日もすがら
老武者と大根あなどる若菜哉
百とせの枝にもどるや花の主
春の海終日のたりのたり哉
辛崎の朧いくつぞ与謝の海
一筋もすたる枝なき柳かな
象の眼の笑ひかけたり山桜
臑白き従者も見へけり花の春
そこそこに京見過しぬ田にし売
捨やらで柳さしけり雨のひま
野路の梅白くも赤くもあらぬ哉
春の雨穴一の穴にたまりけり
うぐひすのあちこちとするや小家がち
鶯の声遠き日も暮にけり
青柳や芹生の里のせりの中
なには女や京を寒がる御忌詣
鶯の枝ふみはづすはつねかな
やぶ入の夢や小豆の煮るうち
初午やその家その家の袖だたみ
初午や物種うりに日のあたる
風吹ぬ夜はもの凄き柳かな
はるさめや綱が袂に小でうちん
古庭に茶筅花さく椿かな