門松の雪あたたかに降りにけり
どこに居て雑煮を喰ふぞ隠笠
一すくい鍬に雪見るわかな哉
二見から富士見西行春たつや
流るゝか雲に柳のあらし山
廻廊に夜の明やすし厳島
涼しさのまことは杉の梢なり
畠うつ黒き背中や雲の峰
入相や野の果見ゆる雲のみね
立ち入て心安さよ水茶碗
辻つまをあわせてけふの白重
門出の声を上たり晒うり
砂もてり我も扇に一すくひ
冷水のゆるしを受て端居哉
さし当る用も先なし夕すずみ
鑓持や舶呼かけてところてん
合点ぢや其暁のほととぎす
羽衣の松をめぐるかほととぎす
棕櫚の葉に蝉はひとつか清見寺
蛸喰て蓼摺小木のはなし哉
公達の手ならひの間や若楓
浮雲やあふちの花に鳶の声
竹子に雨の降日や小家がち
手を覆ふやうな曇や紅粉の花