ことごとく申は尽じ花の春
春たつや静にの一歩より
元日や草の戸越の麦畠
野一遍雪見ありきぬ雑煮腹
ひともとはかたき莟やふく寿艸
うれしさや養君のか ゞみ割
羽子板の一筆書や内裏髪
とし玉や抱ありく子に小人形
年だまやわび寝の菴の枕上
小わらはの物は買よきわかな哉
ほとゝぎすわたらぬさきに 薺かな
ところ堀おのれが髪も結ふる
梅白く薮の緑にさす枝哉
梅折ば先夕月のうごく也
醍醐出て二度に貰ひぬ梅二本
短冊と伏見の梅を一荷かな
五条まで舟は登りて 柳かな
青柳や堤の春のいく所
我庭を瓶に憐む椿かな
落なんを葉にか ゝへたる椿かな
鴬につめたき雨のあした哉
無人境うぐひす庭を歩りきけり
つくづくしほうけては日の影ほそし
爼ぼしやかづき上ゲしはうどの線
土筆経木のかゝる河辺哉