和歌と俳句

羽子板 羽子 追羽子

羽子板や唯にめでたきうらおもて 嵐雪

羽子板の一筆書や内裏髪 召波

羽つくや用意おかしき立まはり 太祇

あら手きて羽子つき上し軒端かな 太祇

つく羽を犬が咥へて参りけり 一茶

遣羽子をつきつきよける車哉 子規

遣羽子や根岸の奥の明地面 子規

遣羽子や久松も交り美しき 虚子

遣羽子の風に上手を尽しけり 子規

遣羽子やかはりの羽子を額髪 虚子

遣羽子の二人隠るる大木かな 虚子

晶子
あめつちの白地の春に少女子の遣羽子の音金砂子おく

羽子板の重きが嬉し突かで立つ かな女

晶子
遠近に羽子の音きくうたたねは蓬来などにあるここちする

晶子
ささやかに雲立ちのぼる少女子の羽子の板より雲立ちのぼる

晶子
くろ髪の余り清くて憎き子もわれも突くなる羽子の音かな

前髪に落ち来る羽子を打返す 風生

打ちあげし羽子翻るとき日の光 石鼎

つきあげし羽子の白さや風の中 石鼎

外れ羽子の斜にとんで風の中 石鼎

遣羽子の聊かの色を好みけり 石鼎

羽子つくや八ツ口の紅振りこぼし 花蓑

白羽子の二とこ揚り塀の内 石鼎

芯の赤見えずなりたるかゝり羽子 石鼎

羽子板や花の盛の道成寺 喜舟

かかり羽子とつて貰ひに連れてきし 爽雨

枯枝の日のちりちりに羽子の音 亞浪

遣羽子や下駄の歯高く夕べ出て 石鼎