我子早やいろはかるたを取るやうに 虚子
座を挙げて恋ほのめくや歌かるた 虚子
からよみの歌のこゝろもかるたかな 万太郎
年々に古りゆく恋や歌かるた 万太郎
酔い痴れて庵主もどりぬ歌がるた 万太郎
裏返るもありてかるたのなまめかし 石鼎
こぼれたるかるたの歌の見えしかな 夜半
むべ山の札よごれゐる歌留多かな 淡路女
歌留多とる皆美しく負けまじく 虚子
歌留多とる声にとどめて老の杖 虚子
古風なる筥にねむれる歌留多かな 青畝
歌かるたよみつぎてゆく読み減らしゆく 多佳子
敵のかるた一つの歌がわが眼索く 多佳子
ならべゆき心ときめく歌留多かな 青畝
たらちめの手ずれの歌留多読みにけり 青畝
落飾の娘まじへてかるた会 青畝
こぼれゐし歌留多順徳院の歌 青畝
若死の母のかるたの世をおもふ 青畝
刀自の読む咳まじりなり歌留多とる 爽雨