和歌と俳句

破魔弓 破魔矢

誰にやるはま弓ねぎる道心者  来山

はま弓や当時紅裏四天王 其角

破魔弓や重藤の弓取りの家 虚子

大風の夜を真白なる破魔矢かな 水巴

谷雲にそれてながるる破魔矢かな 蛇笏

破魔弓や山びこつくる子のたむろ 蛇笏

あだ守る筑紫の破魔矢うけに来し 久女

風寒し破魔矢を胸に抱へ来る たかし

たてかけてあたりものなき破魔矢かな 虚子

梅を持ち破魔矢を持ちて往来かな 虚子

子に破魔矢持たせて抱きあげにけり 立子

男山仰ぎて受くる破魔矢かな 虚子

矢桶よりとつてたまはる破魔矢かな 青邨

此書屋美しとさだまる破魔矢かな 青畝

上の字の袋きせ置く破魔矢かな 青畝

金色の一すぢはしる破魔矢かな 万太郎

をりからの雪にうけたる破魔矢かな 万太郎

たまはれる破魔矢は恋の矢としてむ 青邨

儒の家に魔を破るべき弓と矢と 誓子

儒門の子からだひよわき破魔矢かな 誓子

破魔矢白く押物朱く賜はりし 青畝

吉兆を呉れぬ破魔矢を贈らばや 虚子

白破魔矢武に苦しみし神達よ 多佳子

羽のみだれ正す破魔矢に息かけて 多佳子

わが寝屋の闇の一角白破魔矢 多佳子

一本の破魔矢余生を護るべし 青畝