一月やほとけの花のゆきやなぎ
初空やすでに聞こゆる羽子の音
初髪のふせてなまめく目もとみよ
葉牡丹のならびて寒に入りにけり
唐紙のあけたて寒に入りにけり
まゆ玉に鴛鴦浮く水の遠きかな
そろばんを弾く音はも福寿草
深川のたかばしとほき年賀かな
歯いたくていたくてならず切山椒
弾初にことし缺けたる一人かな
せりあげのなりものゝいま初芝居
枯芝の上にさしたる初日かな
塵の世の塵のうるさき福寿草
糸屑の膝につくさへ寒の入り
末の子の赤きジャケツや寒の入
ちかみちに抜ける空地の寒の空
草まくら旅にしありて雑煮ばし
われとわがこころに松を納めけり
金色の一すぢはしる破魔矢かな
鬼の来ぬ間の羽子の音きこえけり