茶屋へ行くわたりの雪や初芝居
やぶ入やおよそ悲しき女親
大空や松過ぎの星凍てつくし
初空の下梅ばやし中にあり
ふりいでし雪の中なり松飾
大露地の羽子つくなかを抜け来り
掘割をまへの門なる松飾
輪飾に海の日の来てあたりけり
輪飾や夢の間惜しき三ヶ日
とりいでてかけし春著の襷かな
泣蟲は泣かねばすまぬ春著かな
雪の傘さしつれいづる春著かな
初鴉燗つきすぐてゐたりけり
つゝましく春著の膝をそろへけり
かりそめの襷かけたる春著かな
双六を拡げて淋し賽一つ
初髪や芸子島田に結ひならひ
初髪を結ひをり雪のふつてをり
帯あげの朱あふるゝや松の内
木の撥のこのかたくなや松の内
日帰りの旅いそがしや松の内