島田髷結ひ馴らすなり福寿草
前髪に落ち来る羽子を打返す
渡守正月の靴を穿いてみし
門松やあひだあひだの枯柳
春著かな両手に抱いて重き袖
蓬莱を掛けてアトリエ新しく
出初式梯子の空の上天気
冬霧のかゝる上野や出初式
初富士を漁師の中に拝みけり
道の辺や羽子沈みゐる芹の水
羽子板や母が贔屓の歌右衛門
国許の母が来て居て二の替
腕きゝの若手揃ひの二の替
一月は「暫」の絵や初暦
獅子舞の大きな門をはひりけり
松立てゝ漂うてをる小舟かな
鯨船松飾してかかりをり
うらじろの剪りこぼれをる山路かな
万歳の三河の国へ帰省かな
初富士や茶山にかくれなし
初富士や垣ぞひ行けば垣の上
初富士の大きかりける汀かな
廂より垂れたる松の初雀