むめ一輪一りんほどのあたたかさ 嵐雪
冬梅のひとつ二つは鳥の声 土芳
冬梅や年も一ト二タ枝のはな 野坡
鶯の逢ふて帰るや冬の梅 蕪村
寒梅や梅の花とは見つれども 蕪村
冬の梅きのうやちりぬ石の上 蕪村
寒梅や火の迸る鉄より 蕪村
寒梅や熊野の温泉の長がもと 蕪村
寒梅を手折響や老が肘 蕪村
寒梅や出羽の人の駕の内 蕪村
見て行くやつばらつばらに寒の梅 漱石
寒梅や風に伏し伏し坂下る みどり女
寒梅の香や月の花蔭の花 草城
寒梅や痛きばかりに月冴えて 草城
寒梅に寵愛す石二つあり かな女
わが胸にすむ人ひとり冬の梅 万太郎
寒梅に赤いマントを着て詣づ 汀女
障子隙寒紅梅の翁さび 青畝
冬の梅紺青の斑の鯉澄める 秋櫻子
黝きまで寒紅梅の紅驕る 素逝
寒梅の下なる桶に鯉ひとつ 秋櫻子
冬梅や夕焼雲に音こもる 楸邨
寒梅に蒔絵師の根つづくかな たかし
預けある鼓打ちたし冬の梅 たかし
地震すぎて夜空に躍る冬の梅 秋櫻子
寒梅や空の青さにすきとほり 立子
寒梅やあまりに遠き枝のさき 立子
枝くぐり立ちて寒紅梅ひたと 爽雨
一輪といふは寒紅梅のいま 爽雨
寒梅の一輪なりしあと訪はず 爽雨