和歌と俳句

與謝蕪村

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鍋さげて淀の小橋をの人

雨の時貧しき簔の雪に富り

冬ごもり母屋へ十歩の椽伝ひ

我頭巾うき世のさまに似ずもがな

冬木立家居ゆゝしき梺かな

愚に耐よと窓を暗すの竹

我のみの柴折くべるそば湯哉

紙ぶすま折目正しくあはれ也

氷る燈の油うかゞふ鼠かな

炭取のひさご火桶に並び居る

我を厭ふ隣家寒夜に鍋を鳴らす

霊運もこよひはゆるせとし忘れ

御経に似てゆかしさよ古暦

すゝ掃や調度少き家は誰

乾鮭や琴に斧うつひゞきあり

簔笠の衣鉢つたへて時雨

小春凪真帆も七合五勺かな

に鰓吹るゝや鉤の魚

百里舟中に我月を領す

鰒汁や五侯の家のもどり足

ふく汁やおのれ等が夜は朧なる

居眠りて我にかくれん冬ごもり

冬ごもり壁をこゝろに山に倚

枇杷の花鳥もすさめず日くれたり