好忠
冬ごもりきぬぬい山を見わたせば絶ゆるひまなく雪はふりつつ
顕季
きのふまで 声たえざりし さを鹿の 冬籠りせる 今朝のけしきか
千載集 崇徳院御製
ひまもなく散るもみぢ葉にうづもれて庭にけしきも冬ごもりけり
目ばかりは達磨に負じ冬籠り 来山
先祝へ梅を心の冬籠り 芭蕉
冬籠りまたよりそはん此はしら 芭蕉
金屏の松の古さよ冬籠 芭蕉
あたらしき茶袋ひとつ冬籠り 荷兮
何事も筆の往来や冬籠 千代女
根深煮る色こそ見へね冬籠 也有
勝手まで誰が妻子ぞ冬ごもり 蕪村
売喰の調度のこりて冬ごもり 蕪村
冬ごもり燈下に書すとかかれたり 蕪村
鍋敷に山家集有り冬ごもり 蕪村
桃源の路次の細さよ冬ごもり 蕪村
冬ごもり妻にも子にもかくれん坊 蕪村
冬ごもり仏にうときこゝろ哉 蕪村
冬ごもり母屋へ十歩の椽伝ひ 蕪村
居眠りて我にかくれん冬ごもり 蕪村
冬ごもり壁をこゝろに山に倚 蕪村
冬ごもり心の置くのよしの山 蕪村
思ふ事戸に書れたり冬篭 召波
人嬉し京の真中に冬ごもり 暁台
蝿一羽我を廻るや冬篭 暁台
冬籠一字に迷ひ夜戸出哉 暁台
捨られぬものは心よ冬籠 白雄
冬籠こもり兼たる日ぞ多き 白雄
京の水遣ふてうれし冬ごもり 太祇
僧にする子を膝もとや冬ごもり 太祇
書棚に塩辛壺や冬篭 几董
親も斯見られし山や冬籠 一茶
五十にして冬籠さへならぬ也 一茶
屁くらべが叉始るぞ冬籠 一茶
焼筆で飯を食つつ冬籠 一茶
冬ごもりいか物喰を習ひけり 一茶
とうふ屋と酒屋の間を冬籠 一茶
口出すがとかく持病ぞ冬籠 一茶
留守札もそれなりにして冬籠 一茶
良寛
我が宿は越のしら山冬ごもり行き来の人のあとかたもなし
良寛
わが宿はこしの山もと冬ごもり氷りも雪も雲のかかりて
良寛
み山びに冬ごもりする老の身を誰れか訪はまし君ならずして