わら苞の豆麩かついでかれの哉
寝た人を凩づうんづうん哉
口出すがとかく持病ぞ冬籠
来る人が道つける也門の 雪
はつ雪や今捨る迚集め銭
凩や常灯明のしんかんと
広小路に人ちらかつて玉霰
針事や椽の小春を追歩き
小座敷の丁ど半分小春哉
をさな子や文庫に仕舞ふはつ氷
煤さはぎすむや御堂の朱蝋燭
旅の皺御覧候へばせを仏
本馬のしやんしやん渡る氷哉
あばら家にとんで火に入る霰哉
薄壁や月もろともに寒が入る
ふぐ汁やもやひ世帯の惣鼾
ばせを忌と申も只一人哉
初雪やころころけぶるたばこ殻
うつくしや年暮きりし夜の空
朝市の火入にたまる霰かな
田から田へ真一文字や十夜道
初時雨夕飯買に出たりけり
ばせを忌やことしもまめで旅虱
留守札もそれなりにして冬籠
おとろへや榾折かねる膝頭