ちる木の葉渡世念仏通りけり
初時雨堤をもやして遊けり
はつ雪のひつつき安い皺手哉
はつ雪が降とや腹の虫が鳴
雪ちるや七十顔の夜そば売
袂へも飛入ばかり千鳥哉
はつ雪をいまいましいと夕哉
わらの火のへらへら雪はふりにけり
はつ雪やそれは世にある人の事
煤はきや火のけも見えぬ見世女郎
行としや空の名残を守谷迄
門口へ来て氷也三井の鐘
おち葉して仏法流布の在所哉
おく霜や白きを見れば鼻の穴
むら時雨山から小僧ないて来ぬ
木がらしにしくしく腹のぐあい哉
榾の火や白髪のつやをほめらるる
何として忘ませうぞかれ芒
はつ雪やとても作らば立砂仏
しぐるるや軒にはぜたる梅もどき
寒月や喰つきさうな鬼瓦
はつ時雨酒屋の唄に実が入ぬ
鶏頭のつくねんとして時雨哉
木がらしや鎌ゆひつけし竿の先
有様は寒いばかりぞはつ時雨