和歌と俳句

小林一茶

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象潟もけふは恨まず花の春

木々おのおの名乗り出たる木の芽

三文が 見にけり遠眼鏡

陽炎やむつましげなるつかと塚

行春の町やかさ売すだれ売

いつ逢ん身はしらぬひの遠がすみ

剃捨て花見の真似やひのき笠

畠打が焼石積る夕べかな

父ありて母ありて花に出ぬ日哉

君が世やにしあれど笥の雑煮

陽炎に敷居を越る朝日哉

初夢に古郷を見て涙哉

窓明てを見送る野原哉

遠里や菜の花の上のはだか蔵

元日やさらに旅宿とおもほへず

がかに障子ひらけば月夜哉

朧朧ふめば水也もよひ道

門前や何万石の遠がすみ

寐ころんで泊らせる外湯

几巾青葉を出つ入つ哉

塚の花ぬかづけば古郷なつかしや

鳴き鶏なき東しらみけり

松そびへ魚をどりて春を惜む

一つ舞台せましと狂ふ哉

振向ばはや美女過る