和歌と俳句

陽炎

定家
くりかへし春のいとゆふいくよへておなじ緑のそらに見ゆらむ

良経
おもかげに千里をかけて見するかな春のひかりに遊ぶいとゆふ

定家
春のおる花のにしきのたてぬきにみだれてあそぶ空のいとゆふ

枯芝やまだかげろふの一二寸 芭蕉

丈六にかげろふ高し石の上 芭蕉

かげろふの我肩に立かみこかな 芭蕉

糸遊に結つきたる煙哉 芭蕉

かげろふや柴胡の糸の薄曇 芭蕉

かげろふや墓より外に住ばかり 丈草

野馬に子共あそばす狐哉 凡兆

かげろふの抱つけばわがころも哉 越人

かげろふやほろほろ落る岸の砂 土芳

かげろふのたつや手まりの土ぼこり 許六

陽炎の中やゆらつく東山 許六

いとゆふや短きものに長いもの 千代女

陽炎やほしてはぬるる水の上 千代女

陽炎ややれぬは水のうたがはし 千代女