有家
住みなるゝ床を雲雀のあくがれて行衛も知らぬ雲に入ぬる
家隆
野辺見ればあがる雲雀も今はとて浅茅に落つる夕暮の空
定家
すゑとほき若葉のしばふうちなびき雲雀鳴く野の春の夕ぐれ
良経
片岡の霞もふかき木隠れに朝日まつまの雲雀鳴くなり
俊成
あはれにも空に囀る雲雀かなしばふの巣をばおもふものから
定家
すみれ咲く雲雀の床に宿かりて野をなつかしみくらす春かな
永き日も囀たらぬひばり哉 芭蕉
原中や物にもつかず鳴雲雀 芭蕉
雲雀より空にやすらふ峠哉 芭蕉
地は遠し星に宿かれ夕雲雀 素堂
あがりては下を見て鳴ひばりかな 千代女
おそろしや高い所に啼雲雀 千代女
何になる空見すまして雲雀かな 千代女
入相に落て音なきひばり哉 千代女
囀りにものの交らぬひばりかな 千代女
笠着れば一重へだゝる雲雀哉 也有
熊谷も夕日まばゆき雲雀哉 蕪村
夕雲雀鎧の袖をかざし哉 蕪村
島原に田舎の空や夕ひばり 召波
雨雲やをぐさかざして鳴ひばり 暁台
山かげの夜明をのぼる雲雀かな 几董
はなのさく草は巣にせであげ雲雀 青蘿
一舎おくれし笠よ啼雲雀 一茶
木曾山はうしろになりぬ鳴雲雀 一茶
野大根も花咲にけり鳴雲雀 一茶
鳴雲雀水の心もすみきりぬ 一茶
うつくしや雲雀の鳴し迹の空 一茶
昼飯をたべに下りたる雲雀哉 一茶
曙覧
うち振ふはねも心のすゝむにはおくるといひてひばり鳴らむ