隠すべき事もあれ也雉の声
朝夕やかほに火をたくきしの声
夜になれば笑ふ気になる雉子かな
萠る隙にきじもこもるや草のはら
雉子鳴て山は朝寝のわかれかな
雉子啼やおもはぬ事も思ふ比
うくひすにまたるる梅はなかりけり
うくひすの初音や竹に何の味
うくひすは言そこなひが初音哉
うくひすやさむさわすれぬ竹の有
うくひすやはてなき空をおもひ切
うくひすや都きらひの竹の奥
うくひすや冬其儘の竹もあり
鴬のどちらが鳴ぞ水の影
鴬の隣まで来てゆふべ哉
鴬はひと戻りして初音かな
鴬やけふ此庭に幾久し
鴬や水音のんで言はじめ
鴬や椿落して迯て行
鴬や梅にも問ずよそ歩行
鴬や梅にも問ず遠ふ歩行
下もえをうらからのぞく土橋かな
下萌に雫あふなき柳哉
あがりては下を見て鳴ひばりかな
おそろしや高い所に啼雲雀