若くさや駒の寝起もうつくしき
若くさや尾の顕はるる雉子の声
若草やまがれるものはしれやすし
いふことも羽でととのふこてふ哉
てふてふや幾野の道の遠からず
わが風で我吹おとす胡蝶かな
雨の日はあすの夢までこてふ哉
招き合ふていふにもまさる胡蝶かな
吹よせて 十にもたらぬ 胡蝶かな
春風もゆだんはならず鹿の角
春風やいろいろの香をそそのかし
梅散てさぞ春風も松の月
山吹のほとけかかるや水の幅
山吹や影も狂はぬ水の影
山吹や花ありたけを水に置
山吹や柳に水のよどむころ
かほる風おくにひかへて松の花
吹つもる塵出なをして松の花
其音は水にもたして松の花
誰もかも見てわするるや松の華
わか松やみな下に成ものの音
おしめども春は留らで啼蛙
このころの田にもこぼるるかはづかな
ふたつみつ飛んで見て飛蛙かな
一つ飛ぶそこで皆とぶ蛙かな