たからとは今日の命ぞ初さくら
だまされて来て誠也初さくら
わき道の手をひかれてや初さくら
わき道の夜半や明るく初さくら
をのか花をそしらぬかほや初さくら
雲はまた雲と見えけり初桜
鴬はふるうなりけり初さくら
見て戻る人には逢ず初桜
おなし名のももにも桃のよはゐ哉
ももの花我をわすれる月日かな
よし野から鳥も戻るや桃の花
鴬やかりそめに来て桃の花
鶏の家にあまるや桃の華
今日までのあしをほむるや桃の花
山に咲ぬものと聞しに桃の花
桃の花石あたためてもどりけり
桃の色目におさまりて富士見哉
桃咲や都はなれて宮古人
里の子の肌まだ白しももの花
行にさへ野のいそがしや春のくれ
おぼろ夜や松の子どもに行あたり
朧夜や見届たもの梅ばかり
あし音にしる人も有朧月
何事かある身にはよき朧月
穴の明松風もなし朧月