すみれ草根よけに立し宵の雨
どれほどもちがはぬ道にすみれかな
牛も起てつくづくと見る菫哉
駈出る駒も足嗅ぐすみれ哉
根を付で女子の欲や菫草
山陰やわするる比のすみれ草
色に迷ふすみれに花のちる日哉
地も雲に染らぬはなきすみれ哉
濡るまでは心野にをくすみれかな
余の草の人あしうけてすみれ哉
たんぽぽや折々さます蝶の夢
打すてて誰がぬしなるぞつづみ草
ながき日も眼に暮るる也竹のうら
永き日の油断やものを問をくれ
日はながし卯月の空もきのふけふ
閑かさは何の心やはるのそら
初はなやまだ松竹は冬の声
初花は誰ぬしなるぞよし野山
初花や烏もしらすにきのふけふ
あとさきにけふ我までの初桜
けふまでの日はけふ捨てはつ桜
けふ来ずは人のあと也初桜
ざうり家の来て聞えけり初さくら
しのび路に似たあしあとや初さくら