ふか入のした日の脚や山ざくら
眼をふさぐ道もわすれて山さくら
近よれば水は離れて山さくら
山桜花のうらこそ夕日影
女子どし押てのぼるや山さくら
潜るとて刺はせねども山桜
おのづから手も地につくや糸さくら
ぴんとしたはちりた枝也糸さくら
むすばれて蝶も昼寝や糸さくら
影は滝空は花なりいとさくら
かりそめの道を問ひ置汐干哉
海士の子に習らはせて置汐干哉
拾ふものみな動く也塩干潟
青柳のけふは短きしほ干かな
蝶蝶のつまたてて居るしほ干かな
おされ合ふてものの根を根に春の草
静かさは何の心ぞ春の草
分入ば水音ばかり春のくさ
わかくさやきれまきれまに水のいろ
わか草や根よけに立し宵の雨
若くさやまだどちらへもかたよらず