和歌と俳句

服部嵐雪

霜朝の嵐やつつむ生姜味噌

柳にはふかでおのれあらしの夕

汐干くれて蟹が裾引くなごり哉

舟炙るとま屋の秋の夕哉

松風の里は籾するしぐれ哉

はぜつるや水村山郭酒旗の風

簾に入て美人に馴るかな

萍に何を喰うやら池の鴨

正月も身は泥のうなぎ哉

よしなしやさでの芥とゆく

蕗のとうほうけて人の詠かな

盆迄は秋なき門の灯籠哉

木がらしの吹行うしろすがた哉

つとめよと親もあたらぬ火燵哉

秋風の心動きぬ縄すだれ

鈴鴨の声ふり渡る月寒し

庵の夜もみじかくなりぬすこしづつ

かくれ家やよめ菜の中に残る菊

我もらじ新酒は人の醒やすき

立いでて後あゆみや秋の暮

鴨おりて水まであゆむ氷かな

古足袋の四十に足をふみ込ぬ

に風かろくきてふけ酒の泡

樗佩てわざとめかしや芝肴

元日や晴てすずめのものがたり