白つつじまねくやう也角櫓
夢人の裾をつかめば納豆哉
青鷺の叱と鳴つつけふの月
むつかしき中に香もありばらの花
そばうちて眉髭白しとしのくれ
青雲に松を書たりけふの月
蒲団きて寝たる姿や東山
五月雨や硯箱なる番椒
日を拝む蜑のふるへや初嵐
初鰹盛ならべたる牡丹かな
木の朶にしばしかかるや紙鳶
濡縁や 薺こぼるる土ながら
うぐひすや書院の雨戸走る音
蚊遣木や女の斧に石をわる
鶯の来て染つらん草の餅
さみだれや蚯蚓の徹す鍋のそこ
洛外の辻堂いくつあきの風
来る水の行水あらふ涼かな
腸は野に捨たれど袷かな
霜時雨それも昔や坐興庵
年すでに明て達磨のしり目哉
いづれもの猫なで声に年の暮
畑中によし野静やすす掃
嵯峨中の淋しさくぐる薄哉