ふり袖のやまとに長し日の始
太箸や後トにひかへし檜木山
鏡餅母在して猶父恋し
神の春楠もいはほと成てけり
元日やくらきより人あらはる ゝ
我と人と深山ごゝろや初日影
よろこびの雲見えそめて花のはる
此心我蓬莱のはな柑子
根つかせて見せばやけふの子の日草
京縞の頭巾で出たり薺うり
わかなつむ人をしる哉鳥静
はつわかな鰹も切べき日なりけり
わかなの日三輪の酒うり出初たり
梅咲て十日にたらぬ月夜かな
火ともせばうら梅がちに見ゆるなり
梅林を出て懐に梅のつぼみ哉
手向山有明ざくら咲に鳧
ほつかりと黄ばみ出たり柳の芽
二日見ぬ程や柳のおもかはり
青柳に山路のこ ゝろはなれたり
藪いりを獅子の口より見初けり
やぶ入や木履踏かく人ごゝろ
ゆきどけや深山曇を啼烏
はるの日や梅のあたりのつ ゞみ箱
袖たけのまつの中行春日哉