和歌と俳句

加藤暁台

赤椿咲し真下へ落にけり

滴せばしづくと絶むなしの花

海棠や誰が置たる楢枕

水口にころがりを打田にしかな

蓬生に身をうち付てなく

の水啼こぼす蛙かな

菜のはなに目当の柳風くらし

なの花や盃持て畔うつり

花の酔さましに来たか夕つばめ

しのび路のやまぶきか ゝる髻かな

白鷄の山ぶきちらす逆毛哉

雛の間にとられてくらきほとけかな

酔ざめやほのかにみゆるひなのかほ

曲水に秀句の遅参気色あり

四五尺の桃はなさきぬ草の中

桃の花折手はづれて流しけり

初はなや花の辺の落葉かき

花のもとたちされば四方は夕曇り

土佐が画の顔に扇やはな見幕

華を踏て岩に角なし鈴鹿山

華は根に我に五尺の地を得たり

目にいたきけぶりの末やゆふざくら

かはり果し杖よわらじよやま桜

きさらぎの有明ざくら見果けり

けふ来ずばきのふの花のあらし山

花に歎き又花を呵す天竜寺