ちからなら蝶まけさせむ今朝の春
人なみに日数を持や今朝の春
うつくしい夢見直すや花の春
よき事の目にもあまるや花の春
花の春や有の儘なる我ながら
見るも宝みるもたからや日の始
初空に手にとる富士の笑ひ哉
初空や袋も山の笑ひより
初空や鳥はよし野のかたへ行
はや水の田毎に出来て初日影
竹も起て音吹かはす初日哉
鶴のあそび雲井にかなふ初日哉
墨染で初日うかがふ柳かな
わかみづや流るるうちに去年ことし
わか水や柳見よとの道も有
若みづや迷ふ色なき鷺の影
若水や松のとしくむ松の影
若水や千里の水もらず行
若水や藻に咲花も此雫
屠蘇酒や又とそまでの遊びそめ
福わらや御所の裾にも袂にも
福わらや塵さへ今朝のうつくしさ
たから船よい間所にかかりけり
かざらぬは初音も来よし庭の竹
松竹や世にほめらるる日の始