地に遊ぶ鳥は鳥なり初かすみ
富士はまた水に明るし初かすみ
木のもとはあとの事なり初霞
雁のふみ又よみなほすわかなの野
我ために出る春の野や若菜売
わかなつむけふより花の道近し
一いろのあまりは白し若菜摘
花までは出措しむ足を若菜摘
山彦はよ所の事なりわかな摘
仕事なら暮るるおしまじ若なつみ
若菜摘けふより花の道広し
雪礫返す間もなし若菜摘
道くさも数のうちなり若菜摘
戻りには目もふところやわかなつみ
鷲に道をあづけてわかなつみ
かへるさも野に名残なき若菜哉
ここらかと雪にこと問若菜かな
ひとつ家も摘出す雪の若菜哉
一いろのあまりは白き若な哉
手の跡を雪のうけとる若菜かな
人音を鶴もしたふて若菜哉
置ぬものたづねて雪のわかな哉
白い手の雪間につもる若菜哉
風の手にけふまで入ぬわかな哉
脇道を我からゆるすわかなかな