和歌と俳句

杉山杉風

雪降や紅梅白し花の春

はや今朝はおもしろうなる万哉

元日は侘人更になかりけり

松かざりはや花鳥を急なる

元日や花咲春は屠蘇の酒

着そはじめ咲や難波の梅の花

きのふより若菜摘そへ薺売り

桑さして栄行畑や老の春

黴の餅刻比の椿かな

わかな野や鶴付初し足の跡

仕着せもの皆着揃ふて春の宿

きのふ今朝足の早さよ若菜売

飾松過てうれしや終の道

芝草やまだはつ春のかれ野塚

玉うどのうつくし苣の早苗の薄緑

山井や墨のたもとに汲

花の陰我草の戸や旅はじめ

子や待ん餘り雲雀の高あがり

みちのくのけふ関越ん箱の海老

紅梅は娘すまする妻戸哉

待花に小さむい雨のあした哉

梅咲て庇柱やもたれ物

青柳に念なかりけり朧月

鶯よ咽こそばいうなりけるか

花いづれ精進日には白きむめ

馬の頬押のけつむや菫草