巡礼に打まじり行帰雁かな
顔に付飯粒蠅にあたへけり
元日や漸 々うごく紙鳶
桃の日や蟹は美人に笑るる
名月や煙はひ行水の上
兼好も莚織けり花ざかり
うぐひすにほうと息する朝哉
花はよも毛虫にならじ家桜
塩うをの裏ほす日也衣がへ
行燈を月の夜にせんほととぎす
文もなく口上もなし粽五把
竹の子や児の歯ぐきのうつくしき
七夕やふりかはりたるあまの川
つくり木の糸をゆらすや秋の風
白鳥の酒を吐らん花の山
青嵐定まる時や苗の色
つき立ての餅に赤子や年の暮
白露や角に目を持かたつぶり
常燈や壁あたたかにきりぎりす
此下にかくねむるらん雪仏
山鳥のおろおろなきや五月雨
水茎の馬刀かき寄せん筆の鞘
白雨や障子懸たる片びさし
今少し年寄見たし鉢たたき