秋風の鑓戸の口やとがりごゑ 芭蕉
枝もろし緋唐紙やぶる秋の風 芭蕉
蜘何と音をなにと鳴秋の風 芭蕉
東にしあはれさひとつ秋の風 芭蕉
たびにあきてけふ幾日やら秋の風 芭蕉
見送りのうしろや寂びし秋の風 芭蕉
あかあかと日は難面も秋の風 芭蕉
塚もうごけ我泣声は秋の風 芭蕉
桃の木の其葉ちらすな秋の風 芭蕉
石山の石より白し秋の風 芭蕉
秋風のふけども青し栗のいが 芭蕉
秋風や桐に動てつたの霜 芭蕉
秋風に折て悲しき桑の杖 芭蕉
物いへば唇寒し龝の風
入船やいなさそよぎて秋の風 素堂
そちへふかばこちらへ吹ば秋の風 鬼貫
くらがりの松の木さへも秋の風 鬼貫
秋風の吹わたりけり人の顔 鬼貫
鐘の音物にまぎれぬ秋の風 杉風
がつくりとぬけ初る歯や秋の風 杉風
秋風の心動きぬ縄すだれ 嵐雪
つくり木の糸をゆるすや秋の風 嵐雪
あさ露や鬱金畠の秋の風 凡兆
芭蕉葉は何になれとや秋の風 路通
終夜秋風きくや裏の山 曾良
撫付し白髪のはねる秋の風 曾良
秋かぜや息災過て野人也 北枝
秋風の山をまはるや鐘の声 千代女
穂に出でぬ薄さそふや秋の風 千代女