和歌と俳句

河合曾良

蚶潟や幾世になりぬ神祭

湯殿山銭ふむ道の泪かな

卯のはなに兼房見ゆる白毛哉

卯の花をかざしにの晴着かな

風蘭の先や蘇鉄の八九本

撫付し白髪のはねる秋の風

国々に案山子もかはる姿かな

むかしとや二人行脚の盆せしか

かさねとは八重撫子の名成べし

三日月や影ほのかなる抜菜汁

膝折るやかしこまり鳴く鹿の声

なつかしや奈良の隣の一時雨

一つ戸や雀はたらく冬がまへ

畳めば我が手のあとぞ紙衾

かれの塚もてなせけふのあさ霙

侘しさや大晦日の油売り