蚶潟や幾世になりぬ神祭
湯殿山銭ふむ道の泪かな
卯のはなに兼房見ゆる白毛哉
卯の花をかざしに関の晴着かな
風蘭の先や蘇鉄の八九本
撫付し白髪のはねる秋の風
国々に案山子もかはる姿かな
むかしとや二人行脚の盆せしか
かさねとは八重撫子の名成べし
三日月や影ほのかなる抜菜汁
膝折るやかしこまり鳴く鹿の声
なつかしや奈良の隣の一時雨
一つ戸や雀はたらく冬がまへ
畳めば我が手のあとぞ紙衾
かれの塚もてなせけふのあさ霙
侘しさや大晦日の油売り