門内の空の深さや菊日和 泊雲
見かへるや麓の村は菊日和 龍之介
菊晴や布団とぢゐて子に復習ひ みどり女
空に雲薄く流るる菊日和 虚子
南縁の焦げんばかりの菊日和 たかし
菊日和浄明寺さま話好き たかし
若人のきざむ墓石や菊日和 汀女
菊日和シャベルや砂利を掻鳴す 茅舎
菊日和道を放射に環状に 茅舎
銀翼の光飛び来ぬ菊日和 茅舎
菊日和夜はまどかなる月照りぬ 秋櫻子
佳き花の十鉢にあまり菊日和 秋櫻子
水指のぬらす畳や菊日和 秋櫻子
我が猫をよその門辺に菊日和 たかし
菊日和いねて寝不足をとりかへす 秋櫻子
夜を咳けば昼はねむりつ菊日和 秋櫻子
紙を干す山家のわざも菊日和 秋櫻子
野の窪に湛へし雨や菊日和 秋櫻子
軍鶏の貌朱に爛れたり菊日和 秋櫻子
洗濯にひやけし指や菊日和 真砂女
菊日和美しき日を鏤めぬ 立子
菊日和この朝明の老のこと 汀女
真珠採る沖島かけて菊日和 秋櫻子
医王山朝日下り来て菊日和 秋櫻子
菊の蜂部屋をめぐりて菊日和 みどり女
その母の裲襠似合ふ菊日和 秋櫻子