七夕の荒波をわたる舟ひとつ
七夕の空澄み火口雲もなし
火口壁星合ひの空にしづかなり
噴煙のこよひをしるき星祭
空近く噴火の湯あり星祭
星祭山霧下りて更けにけり
初あらし鷹を入江に吹き落す
初あらし崎の楊を吹きなびけ
初あらしあまたの崎へ波を刷く
きのふ降りけふ澄み晴れし松の百舌鳥
野の池に湧き湧く水も秋日和
白菊に朝露こもりひかりいづ
黄菊の香たかし花影のしづかにて
菊日和夜はまどかなる月照りぬ
河口には波騒げども潟の鳰
荒海の鴨が翔け来る潟の上
潮鳴のせまるや千鳥潟に来る
夕千鳥潮泡と潟にそひのぼる
元日の港しづかに鴨ながる
閑庭や芝枯れてねむる 鴨ふたつ
大寒の入日野の池を見失ふ
咲く梅の遠からねども畦絶えぬ
古道にさしいでし梅のけふ咲きぬ
古鏡見る窓前梅のさかりなり