秋晴れの道が分かれるポストが赤い 山頭火
秋晴や窓掛赤き子供部屋 風生
秋晴やキリリと叫ぶ紅いんこ 風生
秋晴や鵙の叫びのあとのなく 喜舟
秋晴や御肌ぬくき地蔵尊 淡路女
秋晴や十六禿を眺めつゝ 立子
秋晴の人出砂丘の中の我
秋晴の川瀬の石に憩ひけり 淡路女
秋晴や鹿島詣での人の中 青邨
秋晴の羊に遠き牧夫かな 櫻坡子
立枯の木に枝もなし秋晴るゝ 櫻坡子
秋晴やメノコにもやるきび団子 立子
秋晴るゝものにふるさと遠きかな 万太郎
行き交ひに犬に口笛秋の晴 汀女
秋晴の茅舎を訪へばよろこべり 立子
秋晴の母と楽しき旅出かな 立子
出でゝ待つ妹が出支度秋日和 花蓑
矢絣を着てエキストラ秋晴に 青邨
秋晴れや白日雪をこぼすかに 水巴
秋晴や橋よりつづく山の道 草田男
秋晴や香煙街に出で来る 草田男
秋晴やたまさか戻る軒雀 草田男
秋晴れて鴎も眉毛あるごとし 茅舎
秋晴るゝ絶壁波の相をなす 茅舎
秋晴や波はなかりし片男波 茅舎
秋晴や巣函をつけて牧の木々 爽雨
秋晴の熔岩につきたる渡舟かな 鳳作
椀ほどの竹生島見え秋日和 虚子
秋晴や志摩には若き真珠みがき 野風呂
秋晴や牧へわかるる梓川 爽雨
山寺の天井までも秋日和 立子
秋晴や何かと干せる村の橋 たかし
秋晴やはやかげり来し家の中 花蓑
瀧津瀬にさしいでし松の秋日和秋櫻子
秋晴や神も玩具もみな弓矢 青畝
秋晴や心ゆるめば曇るべし 虚子
野の池に湧き湧く水も秋日和 秋櫻子
足音の正しく彼女秋日和 立子
山山の葛咲き了り秋日和 たかし
秋晴やひとに匿れて街にあり 友二
秋晴や囚徒殴たるる遠くの音 不死男
あの雲の昃り来るべし秋の晴 虚子
一塵を見つけし空や秋の晴 虚子
秋晴や諸手重ねて打ち翳し 虚子
八一
うかびたつたふのもこしのしろかべにあさのひさしてあきはれにけり
秋晴や御勅論誦す貨車の中 波郷
秋晴の麺麭食こぼす膝あはれ 波郷
ラヂオよく聞こえ北佐久秋の晴 虚子
秋晴の裾野に小さき小諸町 虚子
秋晴の郵便函や棒の先 虚子