子を抱いてかぼちや畑に朝まだき
鞍馬山今は常山木の花ばかり
旅に出る上野の駅の秋の風
函館のいよいよ近し霧の中
おみなへしあしたの原に色濃ゆく
女郎花少しはなれて男郎花
秋雨や馬が顔出す樺林
大木の沢山倒れ蝦夷の秋
山葡萄からめる木々も見慣れつゝ
接骨木の木の間に鱒を釣りにけり
湖のさつと曇れば花さぴた
赤とんぼ草にとまれば薄茶色
倒れ木に歯朶の花咲く山路かな
さるをがせからまぬ木にはつる手まり
秋草や七ツ葉ことにあきらかに
鴨下りて静かに進む七かまど
蛸さげて行く女房や秋の蠅
秋晴やメノコにもやるきび団子
年とへばメノコは六つ秋の風
汽車窓に置ける磁石や秋の旅
立ち寄りし屯田村や秋の風
赤とんぼ舳にとまり舟出でぬ
だまされて道のとほしや花さぴた
穂芒の解けんばかりのするどさよ
秋山の滝道に出し安堵かな